研究課題/領域番号 |
25242031
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松川 弘明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30242275)
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研究分担者 |
中野 冠 慶應義塾大学, その他の研究科, 教授 (10394454)
山口 高平 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20174617)
鈴木 定省 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (50323811)
渡辺 千仭 東京成徳大学, 経営学部, その他 (60220901)
久保 幹雄 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (60225191)
中島 健一 神奈川大学, 工学部, 教授 (80278564)
武田 朗子 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80361799)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | SCRM / サプライチェーン途絶 / リスクマネジメント / レジリエンス / 頑健性 / 安全在庫 / 動的配置 / SCM |
研究概要 |
本年度はSCDRMの基盤となるSCM見える化システム構築を中心に研究を行った。SCM見える化システムはSCVSと呼ぶことにし、XEADモデラーおよびXEADドライバーを用いて構築した生産管理システムに受発注機能を追加し、企業間取引情報および特定商品の調達BOMを統合することで、大量の製品や部品が流れる複雑な供給ネットワークから特定商品のものの流れを抽出することで、物流の見える化を実現するシステムを構築した。具体的には、企業の生産管理システムとセンターとの間で物流情報に対して同期化を行い、企業プロフィル、特定商品の調達BOMを用いてモノの流れを追跡するシステムを設計・開発し、慶應大学理工学部のSCM授業でロールプレー式実験を行った。実験では、川上企業の情報共有および川下企業の情報共有の二つの視点、およびサプライチェーン途絶ありとなしの二つのカテゴリーに分け、2グループ間のコンペ形式で計4回の実験を行い、見える化システムの有効性を確認した。サプライチェーンリスク評価については、92本の関連論文を集め、リスク、サプライチェーンリスク、サプライチェーンリスクマネジメントの3つのカテゴリーに分けてその定義や特徴を分析し、体系化を行った。リスク評価においてはさらにサプライチェーン・レジリエンスについても既存研究論文をレビューし、テキストマイニングを用いてレジリエンス構造モデルを構築した。企業のレジリエンス評価のために、富士ゼロックスおよび荏原製作所のグローバルサプライチェーンマネジメント部と連携し、スコアカードを設計した。ロバスト・サプライチェーンの設計については、Gravesらの既存研究を拡張し、2社購買を導入したうえで、サプライチェーンが途絶しても損失を最小にできるモデルを構築し、GrobiとPysonを用いた動的最適化モデルの解法を提案し、数値実験を通じて有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DBコンセプト社の強力なサポートを取りづけたことが第1の要因で、XEADモデラーおよびXEADドライバーを無料で使用させていただき、渡辺幸三社長自ら本研究の基盤であるSCVSシステム設計やコーディングを行ってくれたことで、SCVSの構築が早くなったこと、また、SCVSの中核部分の設計については、特にSC-BOMのアイデアの考案、業務フロー、データモデリング、機能設計において、日揮株式会社システム部の佐藤知一部長が直接設計・指導していただいた点、これがSCVSの構築を計画より早く完成した主な理由であると考える。また、SCRMおよびレジリエンスの文献研究においては、博士学生を中心とした修士学生たちが協力して文献を集め、テキストマイニングできるように論文1本ずつテキスト化してデータベースを構築し、レジリエンススコアカードの設計においては富士ゼロックスの中澤部長(GSCM部)、荏原製作所の三宅部長(GSCM部)の貢献が大きい。BOMデータの統合においてはオントロジーの専門家である日本人口知能学会の山口会長の貢献が大きい。最後に、ロバスト設計においては研究分担者の海洋大久保教授よび東大武田准教授の貢献が大きい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はSCVSを実用化するために、サーバを購入し、SCVSを実装する。その後、セットメーカーを中心としたサプライチェーン企業と連携して実験を行い、実用化に向けてシステムの問題を抽出し、改善を行う。また、SCVSの普及のために科研費研究グループのHPを立ち上げ、HP上にSCVSを公開し、試用や実験的導入を呼びかける。レジリエンススコアカードについては、富士ゼロックスおよび荏原製作所をはじめとした製造業のSCM部署との連携を強化し、工場長を対象にスコアカードのデータを収集し、分析を行う。在庫の動的配分については、リスクを考慮した安全在庫の計算式を考案し、今までの需要の不確実性のみに着目した計算式を見直す。特に、途絶リスクを考慮した安全在庫の計算式を考案し、その計算式で計算した安全在庫を動的に配置することで、サプライチェーン途絶リスクおよび途絶による損失を最小にするモデルを構築し、最適解を求めるアルゴリズムを開発する。
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