研究課題
細胞が置かれる力学的環境を均一化することを目的として、本研究では様々なマイクロパターニング法(細胞形態を人為的に規定)を開発してきた。本年度に開発した方法においては、赤外線を吸収する薄膜に対し赤外線レーザーを照射して融解し、微小な孔を形成した。別途、細胞培養用ガラスボトムディッシュにシリコーンコートを施し、その上側に上記のレーザー加工した孔付き薄膜を密着させたうえで酸素プラズマ処理を行った。孔付き薄膜は、酸素プラズマの照射を遮断するマスクとして作用するために、孔と同一形状の親水化領域を作製することができる。この後に機能性分子であるPluronic溶液に浸すことにより、マスクで遮断されて疎水性を保つシリコーンを親水化しつつ、タンパク質への付着を阻害した。一方、酸素プラズマ照射により親水化された領域にはゼラチンをコートして細胞の接着性を向上させた。このように表面処理を施した基質に細胞を播種し、細胞がマスク中の孔と同形状の領域に選択的に接着することを確認した。また、この酸素プラズマ法と、前年度までに開発した細胞収縮力評価法を組み合わせて、細胞の力学環境を均一にしたまま、その細胞が発生する収縮力を評価できる新しい系を作った。本方法は透明度と屈折率に優れた材料を用いており、バイオイメージングと併用することができる。従って、力学環境を統一したうえで細胞の発生力と細胞内情報伝達との相関を調べることが可能となった。その他に、上記の細胞収縮力を評価する際に必須となるシリコーン材料の力学特性および光学特性を計測し、力学系の国際誌において論文発表を行った。また前年度に取り組んだ細胞微小伸展装置の技術開発について成果をまとめて、応用物理学系の国際誌において論文発表を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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