研究課題/領域番号 |
25242040
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクロ流体デバイス / 肝組織 / 腸管 / 細胞極性 / 神経組織 |
研究実績の概要 |
マウスES/iPS細胞から内皮細胞と肝細胞が機能的に共存した肝組織、胆管上皮組織、その他の組織の独立したマイクロ流体デバイスを連結して、動物実験代替法となる薬物の代謝・修飾・排泄・貯蔵をおこなう「腸・肝組織高性能薬物動態チップ」を開発し、最小哺乳類in vitroシステムの確立を目指している。そのためには、細胞・組織側とデバイス側の両面からの開発が必要である。セルカルチャーインサートを用いて膜状に腸管上皮株化細胞Caco-2細胞を培養し、細胞の極性を検討したが、細胞間に生じる隙間を埋めることができなかった。本来、腸管上皮組織は腸管上皮細胞のみではなく杯細胞や樹状細胞も存在している。そこで、それらの細胞の代替となる細胞株を探索した。現在、腸管上皮細胞の極性培養は完成していない。 また、マウスES細胞由来肝組織においては、培地中のグルコースレベルの調節がおこなうことが可能であることが確認された。 組織培養系では、死細胞の浮遊により流路が詰まることが頻繁にあるので、毒性試験等への実用化には大きな問題がある。そこで、我々は、マイクロ流体デバイスの構造をさらに改良した。ただし、デバイスの連結部の水圧による漏れに対する対策が必要と思われる。 当初の本提案には記載がないが、動物実験代替法を目指しているために、マウスES細胞から神経組織(神経細胞、オリゴデンドロサイト、アストロサイト等の共存)への分化誘導にも成功し、今後、肝組織ー腸管組織ー神経組織の一体となったマイクロ流体デバイスの開発をおこないたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
腸管上皮組織チップの極性培養に関しては未だ検討中であるが、腸管上皮細胞以外の細胞との共培養で解決できると思われる。当初の肝組織と腸上皮組織以外にも神経組織の系ができたので、本計画はさらに発展できる可能性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
①腸管チップ:腸管上皮細胞で共培養するのに最適な細胞株を見出す。極性を均一にすることを検討する。 ②肝組織チップ:精製度が高く、成熟度も高い肝組織への分化誘導法を見出す。 ③神経組織チップ:神経組織による生化学的応答の計測法の確立をする。 ④①から③の連結による薬物動態や毒性試験の確立を目指す。
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