研究課題/領域番号 |
25242041
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
辻 孝 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (50339131)
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研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
大島 正充 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00548307)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30379078)
坪田 一男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40163878)
梶原 康宏 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50275020)
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
藤田 聡 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60504652)
佐藤 明男 北里大学, 医学部, 特任教授 (80255356)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生医工学 |
研究実績の概要 |
1)器官再生の概念実証研究再生分泌腺原基による外分泌腺の機能的再生を実証するため、分泌腺切除マウスに再生分泌腺原基を同所性に移植するモデルを構築した。再生唾液腺、再生涙腺は特徴的な腺房構造形成やレシピエント導管への接続が確認され、神経性刺激により唾液や涙液を分泌したことから、正常マウスと同様の神経支配を受けていることを明らかとなった。さらに再生唾液腺原基移植マウスでは、口腔内洗浄効果や嚥下機能が回復したことを実証し、再生涙腺原基移植マウスでは、正常マウスと同等の眼表面保護作用を実証したことにより、計画を達成した。
2)器官再生に向けた細胞シーズの開発研究成体組織からの上皮性幹細胞の培養する技術の開発については、成体マウス毛包由来のバルジ領域の単一化細胞を培養し、器官誘導能を有する上皮性幹細胞の探索を継続している。iPS細胞からの器官誘導については、昨年度開発したiPS細胞由来胚様体の生体内移植により誘導された再生毛包を成体マウスに同所性に移植した。再生毛包は、正常マウス体毛と同様に発毛し、毛周期を繰り返し、神経や立毛筋などの周辺組織との接続が明らかとなったことから、iPS細胞から天然毛包と機能的に同等な毛包を再生する技術が開発されたことを実証した。
3)新規機能性材料の開発研究糖鎖と自己組織化ペプチドを組み合わせた新規ゲル材料について、ゲルの作製条件を検討すると共に、ゲルの力学的特性の解析を進めた。新規機能性ゲルは、動的粘弾性強度が従来型コラーゲンゲルよりも低かったため、より強度の高いゲル作製に向け、糖鎖を分子レベルで一方向に配向させる中空糸構造のナノファイバーの作製条件の検討を進めた。これらの検討から、生体内に存在する糖鎖の基本単位を新たに合成し、これらの技術と組み合わせることにより、再生医療に適合する新規機能性ゲル材料の開発へ展開することを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の年度計画に対して、項目1)は計画した実施項目すべてを達成し、研究を完了した。項目2)については、成体毛包由来の上皮性幹細胞の培養技術はこれまでに報告がなく困難な課題である中で、基本的な条件に付いて予想以上の展開可能性が得られた。iPS細胞からの毛包誘導技術についても世界最高水準の成果が上がっている。また項目3)については、ゲルの強度が課題であるものの、再生医療に適合する特性を有するゲル開発への足掛かりを得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進については、項目1)は達成済みであり、項目2)の器官誘導能を有する成体幹細胞の探索については、さらに成体毛包からの上皮性幹細胞の効率的な増幅を進めると共にその器官誘導能の検証を実施する。iPS細胞からの器官誘導については、iPS由来再生毛包の成体マウスへの同所性移植を行い、その機能解析を進める。項目3)については、新たに化学合成した生体内に存在する糖鎖構造と自己組織化ペプチドなどを組み合わせた新規ゲルを作製し、物理化学的解析を行うと共に、これまでにない有用な新規足場材料の展開を進める。
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