研究課題
(1)ヒト由来ウイルス外皮タンパク質のナノ粒子(VLP)としての発現:ヒト由来ウイルス群(約20種類)から、外皮タンパク質をコードする遺伝子を単離し、出芽酵母系に導入し、約15種類のウイルスについてVLPが生成することを確認し、約10種類のVLPについてmg単位で精製することができた(昨年度まで)。今年度は、残りの大量にVLPが取得できなかったウイルス(約10種類)について同様に検討を行い、最終的に18種類のウイルスについて大量にVLPを得ることに成功した。(2)得られたVLPの細胞内動態および生体内動態の解析:1)上記VLPを蛍光標識して、各親ウイルスの感染可能細胞の培養液中に添加し、細胞内への取り込みを共焦点顕微鏡下で評価した。その結果、約半数のVLPは細胞特性をもって細胞内に侵入できることを見出した(18種類のVLP中、細胞内侵入能を有するものは12種類であった)。2)培養細胞で特異的な細胞内導入に成功したVLPについては、標的細胞の腫瘍を背部皮下に形成させたヌードマウスに、静脈注射した後、In Vivoイメージング装置により生体内動態を解析した。その多くが、細網内皮系(RES)に富む臓器(肝臓、肺、腎臓等)に集積したが、親ウイルスと同じ感染経路(血液を介して伝播するウイルスは静脈注射、インフルエンザウイルスの場合は経鼻投与、経気道投与、パピローマウイルスの場合は経膣投与)に関して検討したところ、最終的に8種類のVLPについて、生体内での標的化能及び細胞内侵入能を有することが確認された。(3)上記8種類のVLPについて、能動的標的化能、ステルス能、細胞内侵入能を示す部位を人工ナノキャリア(ポリスチレンビーズ)表層に合成ペプチドを提示する手法で絞込を行っており、実際に新規なドメインを見出すことに成功している。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した計画と同等の進捗状況である。
引き続きVLP化していないウイルス、生体内標的化能を示さないVLP、細胞内侵入能を示さないVLPの解析も行う。特に先行している8種類のVLPについては、(1)能動的標的化ドメイン、(2)ステルス能ドメイン、(3)細胞内侵入能ドメインの同定を進めた後、既存DDSキャリアへの能動的標的化ドメイン、ステルス能ドメイン、細胞内侵入ドメインの搭載を行う。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 図書 (4件) 産業財産権 (2件)
Ultrason Sonochem
巻: 21 ページ: 289-294
10.1016/j.ultsonch.2013.05.005
Sci. Rep.
巻: 4 ページ: 4242-4250
10.1038/srep04242.
J. Biol. Chem.
巻: 289 ページ: 9781-9794
10.1074/jbc.M113.507020.
J Biosci Bioeng.
巻: 117 ページ: 394-400
10.1016/j.jbiosc.2013.09.016.
Oncotarget
巻: 5 ページ: 5581-5590
Int J Oncology
巻: 46 ページ: 1268-1274
10.3892/ijo.2014.2806.
膜
巻: 39 ページ: 283-289