研究課題/領域番号 |
25242044
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究分担者 |
山本 雅哉 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (10332735)
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幹細胞治療 / 生物機能改変 / 遺伝子導入材料 / 細胞培養基材 / 細胞培養技術 / 徐放化 / ナノ粒子 / ゼラチン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幹細胞再生医療のための細胞機能を高める組織工学的技術の開発である。本研究では、遺伝子発現期間の制御に重点をおいた非ウイルス性遺伝子導入技術を開発する。生体吸収性ナノ粒子を活用して細胞内で遺伝子を徐放化(徐々に放出)することにより遺伝子発現期間を制御する。 遺伝子導入のための非ウイルス性材料として、ゼラチンにスペルミンあるいはポリエチレンイミンなどのジアミン化合物を反応させることによって、カチオン化ゼラチンを作製した。作製条件を選ぶことで、カチオン化ゼラチンから、コアセルベーションを形成、カチオン化ゼラチンからなるナノ粒子を作製した。それをグルタルアルデヒドによって架橋した。得られたナノ粒子をsmall interfering RNA (siRNA)を混合した後、培養液中に加え、未分化骨髄間葉系幹細胞とともに培養、遺伝子発現活性を評価した。カチオン化ゼラチンナノ粒子は期待通り、細胞内に取り込まれ、細胞内でナノ粒子は分解され、それにともない細胞内で徐放されたこのsiRNA含有ナノ粒子を利用することで遺伝子発現の有意な抑制効果が認められた。次に、乳酸オリゴマーをグラフトしたゼラチンと難水溶性の低分子薬物を混合することで、薬物含有したゼラチンナノ粒子を作製した。そのナノ粒子を幹細胞とともに培養したところ、細胞内で薬物の徐放化され、その薬物効果が長期にわたって維持できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プラスミドDNAや薬物を含有したナノ粒子の作製が可能となり、それらの粒子が幹細胞に取り込まれ、細胞内で徐放化されることがわかった。また、徐放パターンがナノ粒子作製条件によって変化でき、薬物活性の継続期間を修飾することもできた。この成果は、ナノ粒子を用いた薬物の細胞内徐放化の有効性を示したものであり、当初の計画には記載していない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られたプラスミドDNAあるいは低分子薬物を徐放化できるナノ粒子と足場材料とを組み合わせた機能性足場をデザインする。それらの足場で幹細胞を培養し、細胞機能の改変や増強について検討していく。検討はin vitro細胞培養法と動物実験により進める。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。
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