研究課題
昨年度までに作製したタンパク質ナノカプセル(リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)に蓋の役割を果たすジスルフィド結合を導入)に対して癌指向性ペプチドを付加した癌標的型タンパク質ナノカプセルを酸化および還元処理したところ,分子内のジスルフィド結合が形成および開裂することが確認され,酸化還元環境に応答して蓋の開閉が可能であることを明らかにした。また,本カプセルへの難水溶性抗癌剤SN-38の内包化を行った結果,1 mMカプセル存在下,PBS中と比較してSN-38濃度が200倍上昇することを明らかにした。一方,血圧降下作用を有するアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のテルミサルタンを難水溶性モデル化合物として用い,L-PGDSを用いた可溶型経口固形製剤の噴霧乾燥法による製造法を確立した。溶解度測定実験の結果,テルミサルタンの溶解度はL-PGDSの添加により,非存在下の約35倍上昇した。また,得られた複合体製剤は生体内pH範囲において100%の薬物溶出を示した。さらに,高血圧自然発症ラットを用いて,生体内での複合体製剤のin vivo挙動を評価した結果,薬物のみの投与群と比較して血清中薬物濃度プロファイル,および降圧持続作用を劇的に改善した。また,PETイメージング創薬を目指し,SN-38をリード化合物として開発した新規SN-38誘導体のPBS中濃度を測定したところ,SN-38と比較して,13倍上昇し,誘導体化による薬物溶解度の改善に成功した。また,L-PGDSへの内包化を行ったところ,PBS中と比較して13倍上昇することが判明した。さらに,ヒト前立腺癌細胞PC-3担癌マウスに対し,SN-38誘導体内包L-PGDSのin vivo薬効評価を行った結果,SN-38内包L-PGDSと比較して,より少ない投与回数で高い抗腫瘍効果を発揮し,本誘導体化合物の有効性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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