研究課題
有機金属気相成長法によるSi基板上のCdTe単結晶厚膜成長層を用いたアバランシフォトダイオード(APD)によりX線動画観察が可能な超高感度の2次元アレイ型画像検出器を実現することを目的として検討を行っている。高性能の2次元APDアレイ実現のためには、APDの低暗電流化と、X線検出により発生したキャリアの2次元アレイ面内での増倍率分布の均一化が必要である。本年度は昨年度に引き続きp+-CdTe/p-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のAPDアレイの実現を目指して、暗電流低減に必要な低転位のCdTe層成長条件と、アレイのキャリア増倍率分布の均一化に不可欠な成長層膜厚分布と成長層表面モフォロジーの均一化について重点的に検討した。その結果Si基板上でCdTe成長層を低転位化できるSi基板の成長前処理と、CdTe成長層とSi基板の熱膨張係数差による歪み除去を目的として成長初期に実施する熱アニール方法、さらにCdTe厚膜層の成長条件を最適化した。これら前処理や成長後の熱アニールによって成長したCdTe/Si層によりp-CdTe/n+-CdTe/n+-Si構造のダイオードを縦横20x20に2次元配列した検出器アレイを製作した。その検出器アレイの特性を評価した結果、暗電流の大幅な低減と共に、その2次元分布の均一性にも確認できた。その結果これまでは室温では識別不可能であった、241Amの約11keV付近のγ線スペクトルと約30keV付近のCdTeのエスケープピークが識別可能となり、エネルギー分解能の向上が確認できた。さらにCdTe層膜厚分布と表面モフォロジーの均一化も達成した。今後はこれらの成果を基に高性能APDアレイの早期の実現をはかる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Electron Device Letters
巻: 16 ページ: 856-858
10.1109/LED.2015.2450835
http://yasuda.web.nitech.ac.jp/