研究課題/領域番号 |
25242049
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
椎名 毅 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192603)
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研究分担者 |
山川 誠 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60344876)
近藤 健悟 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50649233)
戸井 雅和 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10207516)
工藤 正俊 近畿大学, 医学部, 教授 (10298953)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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キーワード | 医用超音波システム / 組織粘弾性 / 医用イメージング / がん診断 / 肝疾患診断 |
研究概要 |
組織弾性イメージング法として従来の静的手法による歪み計測と、動的手法による剪断波計測を組み合わせることで、弾性率と粘性率の双方を可視化する新しい組織粘弾性イメージング法である超音波ビスコエラストグラフィの開発を目指す。 初年度は「静-動的手法の統合による粘性・弾性分布像の再構成」について検討した。すなわち、用手的圧迫で歪み分布を得る静的手法は、最初に実用化され、特に歪み像は乳腺腫瘍の硬さの違いと高い相関を示し、擬陽性率の低減や、悪性腫瘍の診断精度を高める上で有用性が示されている。一方で、歪みは定性的なため、症例間や経時的な比較に適さないという課題がある。そこで歪み分布の定量化により弾性率分布を得、さらに粘性率分布を可視化することで、静的手法の有用性を高めることができる。そこで、以下について検討した。 (1)歪み分布の定量化に基づく弾性と粘性の計測 (2)符号化pushパルスによる低音圧照射での高変位生成 このうち、(1)は、参照点における静的手法で得た歪みと動的手法でのヤング率をもとに、任意の点でのヤング率を推定し、さらにその結果を利用し周期的な圧迫による歪み変化から、弾性と同時に粘性率を得る。これについては、理論的な検討とシミュレーション解析により、有効性を確認した。(2)は、(1)で用いる動的手法において、従来の音響放射圧による剪断波の生成に100μs程度の極端に長いパルスを用いるため、プローブの発熱や体内への照射エネルギー増加が課題となっている。そこで、短いpushパルス列で符号化することで、低音圧で送信しても仮想的に高音圧でかつ広帯域のpushパルス用いたと同じ効果を期待するものである。これについては、シミュレーションおよび実験により、その有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
符号化pushパルスによる低音圧照射での高変位生成法については、シミュレーション解析による有効性の確認に加え、さらに高フレームレートでの平面波送信および、符号化pushパルスを送信する実験システムを構築し、ファントムの計測によりその有効性を実証した。
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今後の研究の推進方策 |
歪み分布の定量化に基づく弾性と粘性の計測については、シミュレーション解析の次の段階として、実験により検証を試みたが、実験システムの一部を特注する必要があり、予想外に時間を要したため、実際の実験開始は次年度に行うことにした。それ以外はほぼ予定通り進んでおり、次年度も計画に従って遂行できる見通しである。
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