研究課題/領域番号 |
25242051
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (70243219)
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研究分担者 |
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (80349563)
横田 太 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (60759900)
鍵山 善之 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30506506)
高尾 正樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528253)
鈴木 直樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40147327)
田中 正夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40163571)
多田 幸生 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (70135812)
菅野 伸彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70273620)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遠隔診断治療システム / 医用画像・バイオイメージング / 関節病学 / 機械学習 / 画像情報処理 / 生体生命情報学 / 情報システム / 人工知能 |
研究実績の概要 |
1.データベースの拡充:これまで、術前のCT画像とその患者に対する外科医の術前の手術計画データから構成されるデータベースを用いていた。今年度は、術後のCT画像をデータベースに追加した。術後CT画像には、実際に設置した人工関節が撮影されており、手術計画ではなく、実際に設置された人工関節位置・角度・サイズを計測することができ、それらの情報を導入するための準備を整えた。 2.スーパーブレインシステムの完全自動化:これまで、CT画像からの骨格形状抽出について、手作業で画像から骨領域抽出したものを利用していた。今年度、全自動での骨領域抽出法と自動手術計画法(インプラントサイズ・位置・角度の決定)を組み合わせた実験を行った。すなわち、CT画像から手術計画まで、完全自動システムを構築した。パイロット実験では、変形度の小さい症例群について、手作業のよる領域抽出の場合と有意差がない精度が得られた。変形度の大きい症例群については、自動領域抽出精度が不十分な場合があり、有意に精度が低下した。しかし、パイロット実験としては、完全自動システムの有用性を一定水準で検証できた。 3.骨格形状パラメータの自動推定:手術計画において、一部のインプラントについては、骨格形状の機能軸の近似角度が有用になる。前捻角と呼ばれる、大腿骨頸部のねじれ角を自動計測する方法を開発した。これまで、医師の手作業が伴っていたが、全自動で計測する方法を開発した。検証実験を行って、CT画像からの骨領域の抽出も含めて全自動で推定した場合でも、安定に高精度で推定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースについては、術前情報(骨格形状、手術計画データ)に加えて、術後情報(手術で実際に設置したインプラントデータ)を扱えるようになった点が大きな進展であった。当初の4年計画の申請書で、術後データを統計学習に導入する計画を含めており、3年目でデータベース構築ができたことは、遅れているが、最低限の進捗を達成したと考えている。次年度(最終年度)で、術後データを組み込んだスーパーブレインシステムを構築する準備が整ったと言える。また、完全自動システムでのパイロット実験が一定水準の達成点を得たことで、最終年度に、完成度の高い完全自動システムを構築するための重要なステップになった。骨格形状パラメータ自動推定についても、扱えるインプラントの種類を増やす上で重要な成果として位置づけられ、最終年度に向けての適用範囲の拡大のための準備ができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度での完結に向けて、当初の目標の中で、最重要と考える「術後データを組み込んだ統計モデルを構築し自動手術計画」を行う。さらに、CT画像からの自動領域抽出と自動手術計画を統合した完全自動システムを完成させる。個々のインプラント別で、一定水準の達成点を得たので、人工股関節全置換術(骨盤側、大腿骨側の双方のインプラント、およびその他の部品)として完全自動での股関節全体の手術計画を行うシステムの実験および検証を行う。インプラントの種類についても、最低限、2種類のステムインプラント(大腿骨側)について、扱えるシステムにする。これら2種類をカバーすることによって、ほとんどの臨床例をカバーできると考える。構築したシステムを総合的に評価して、本研究を完了させる。
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