研究課題/領域番号 |
25242060
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
今中 國泰 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (90100891)
|
研究分担者 |
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (10423732)
宮崎 真 静岡大学, 情報学部, 教授 (30392202)
白井 述 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50554367)
石原 正規 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60611522)
山田 祐樹 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60637700)
森 司朗 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (80200369)
|
研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
|
キーワード | 予測的知覚 / 表象的慣性RM / RMの発育発達 / RMの加齢変化 / 熟練者のRM |
研究実績の概要 |
本研究計画では、予測的知覚を脳内情報処理における処理時間遅延の補填機能としてとらえ、発育発達、学習・熟練、加齢等の両面から予測的知覚の仕組みを明らかにすることを目的とした。そのため、representational momentum(RM)を共通の実験課題として用い、RMの(1)潜在性、(2)学習・熟練の特性、(3)発育発達・加齢変化について実験的に検討した。特にRMの学習・熟練効果をスポーツ熟練者のRM特性から、また幼少期、若年成人、高齢者を対象に発育過程・加齢特性を重点的に検討した。 学習・熟練の検討では、テコンドーの経験者と未経験者各5名を対象に、ハイキックとミドルキック攻撃の予測判断課題とRM課題の2課題を実施し、予測判断とRMの関連性を検討した(実験1)。その結果、予測判断についてはテコンドー経験者が未経験者より有意に早く、RMについては経験者が未経験者より小さかった。RMと予測判断の関連性は経験者には有意に認められたが未経験者にはなかった。さらに実験2として、被験者数を20名に増やし、120Hz呈示の滑らかな動画を用いた実験を実施した。その結果、予測判断、RMの大きさについては実験1と類似の結果が得られたが、予測判断とRMの関連性については実験1とは異なる結果であった。したがってさらに検討を進める予定である。これらの結果は、H28年度の国内・国際学会で発表予定である。 RMの発育発達、成熟、加齢について、若年成人と高齢者データの収集、さらに体格の大きさによる視距離の違いによるRMサイズの違いを検討した。その結果、小学生、成人、高齢者とRMが徐々に縮小していく傾向が認められ、RMの生得性が示唆される結果を得た。就学前幼児についてもデータ収集を開始した。 これらの検討経過と得られた知見は、平成27年8月に実施した中間報告会で議論された。今後、これらの内容を精査したうえで論文にまとめ、国際誌に投稿する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、熟練者と未熟練者の比較検討について、平成26年度に実施した球技(野球)とともに対人競技(テコンドー)の検討を加え、競技特性の違いによる検討を加え、興味深い知見を得た。また発育発達・加齢変化についてもデータを蓄積し、就学前幼児のデータ収集も開始した。これらの実験より、RMの発育発達の推移の検討を進め、さらに方法論的な点からも検討を加えるに至った。これらの経過から、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
熟練者のRMに関しては、競技特性(特に視線行動の違い)によりRMと予測判断の関連性が異なることが予想され、これまでに加えて視線行動の点からも検討する予定である。 発育発達に関しては、発育経過に伴うRM変化をより明確にするため、年齢による推移・変化をより詳細に検討する予定である。加えて、もしRMが生得的特徴を有しているとすれば、就学前幼児にも顕著なRMが見られることが予想される。したがって、年齢段階の拡大を図りつつデータの蓄積に努め、知見の妥当性を精査する。 これらRMに関する生得性と学習・熟練性の2面的検討結果に関しては、国内学会のワークショップ等で発表し、議論の輪を拡大する予定である。
|