研究課題
本研究計画では、予測的知覚を脳内情報処理における処理時間に起因する遅延の補てん機能としてとらえ、それを表象的慣性(Representational Momentum, RM)を指標に評価することとした。本研究計画では、RMを熟練者特性、発育発達・高齢者特性、ベイズモデルからの検討の各課題について、認知行動科学的側面を明らかにすることを目的とした。そのため、RM測定を同一の実験系により測定し、それぞれの特性を明らかにすることを試みた。それらの概要は以下のとおりである。(1) 熟練者特性については、既に野球選手の一致タイミングにおける予測能とRMの程度が強く関連していることがわかっているが、その応用としてテコンドーのキック予測とRMの関係を検討した。その結果、野球選手とは異なり、テコンドーでは明確な関連性は認められなかった。また、テコンドーキック映像によるRMはその回答方法によりRMが負(過去しか見えない)、正(将来が見える)と逆の結果が得られ、さらに方法論的な観点から検討したが、その原因は未だ不明である。このように熟練者についてはさらなる検討が必要である。(2)発育発達・高齢者特性に関しては、研究成果を論文にまとめ投稿するところである。また国際学会での口頭発表、国内外の大学におけるセミナー等で公表した。(3)RMは過去の経験による知識と刺激の知覚情報の両者により形成されていると仮定し、ベイズモデルから検討してきた。実験では、移動刺激の速度または消失までの時間の変動(分散)の大きさを操作し、RM課題とタイミング課題を実施した。もし変動(分散)の大小によってRMが異なれば、RMには知識及び知覚情報の両者が関与していることになる。現在、それらの実験結果の分析を進めるとともに追実験を実施している。以上の研究課題については、H29年度に採択された基盤研究Aとして継続的に検討していく。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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