研究実績の概要 |
研究目的:進化分子工学(細胞表層ディスプレイ技術)とペプチド構造構築理論を組み合わせることにより,分子標的化合物の新しい設計法を開発する。すなわち,ヘリックス構造をもつペプチドのライブラリーを構築し,標的タンパク質に結合するペプチド(マイクロ抗体と呼ぶ)をスクリーニングする。得られるヘリックスペプチドの結合活性アミノ酸の立体構造情報をもとに分子標的化合物を設計する。 研究計画・方法:本研究では,4つの戦略で分子標的化合物の作製技術を検討する。①試験管内進化によるマイクロ抗体の開発,②立体構造情報に基づくマイクロ抗体の開発,③親和性,生物活性,生体内での安定性,膜透過性,体内動態,抗原性, ④分子標的低分子化合物の設計と合成および生物活性 平成27年度の研究実績概要:当該年度は,③親和性,生物活性,生体内での安定性,膜透過性,体内動態,抗原性に関しては,抗G-CSFマイクロ抗体をマウスに免疫し,マイクロ抗体に抗原性がないことを証明した。抗VEGFマイクロ抗体について酵素分解に対する安定性を評価した。さらに,ヒト臍帯静脈内皮細胞に対する増殖阻害活性を確認するとともに,担がんマウスを用いた動物実験を実施し,がん細胞増殖阻害活性を見いだした。p53様マイクロ抗体について,ポリアルギニン配列を導入し,細胞内移行を確認するとともに細胞増殖阻害活性を評価した。④分子標的低分子化合物の設計と合成および生物活性に関しては,G-CSF受容体結合マイクロ抗体について,ヘリックス上の結合活性アミノ酸3残基 (Leu28, Lys29, Glu32)に対応する官能基を低分子の土台分子に導入したビフェニル誘導体を合成し,G-CSF受容体への結合活性を決定した。さらに,結合活性アミノ酸4残基(Leu28,Glu32 Arg35,Tyr36 )に対応する官能基を導入したビフェニル誘導体を合成中である。
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