研究課題/領域番号 |
25242077
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
内匠 透 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (00222092)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 生理学 / 神経科学 / 脳神経疾患 / 行動学 |
研究概要 |
概日リズムの分子機構として、時計遺伝子の転写翻訳フィードバックループ(TTFL)が知られている。本TTFLのコアの転写因子としてBMAL1があるが、BMAL1に対する特異抗体を作製し、本抗体を用いたChIP-seq法により、BMAL1の標的を網羅的に同定した。その中にある新規遺伝子(Gm129)は既知の機能ドメインを持たず、哺乳類のみに存在していた。本遺伝子をChrono (ChIP-derived repressor of network oscillator)と命名し、その機能解析を行った。Chronoは哺乳類のリズム中枢である脳内視交叉上核や末梢臓器で著名な概日リズムをもった発現をしていた。レポーターアッセイの結果、ChronoはHDAC (histone deacetylase) 依存性にBMAL1-CLOCK活性を抑制することから、TTFLにおいて抑制因子として働いていることを明らかにした。また、ChronoのノックアウトマウスやAvpニューロン特異的なコンディショナルノックアウトマウスでは概日リズム行動の周期の延長が見られた。さらに、拘束ストレス等に対して、視床下部においてその発現が上昇することを見いだした。CHRONOはグルココルチコイド受容体と複合体を形成し、ストレス反応等の生理機能に関与していることを明らかにした。以上のことから、CHRONOは哺乳類概日時計の構成因子として働き、高次機能の概日調節に役割を有している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のChronoはストレスに対応して発現上昇を示すが、うつと概日リズムの相関を明らかにするために、うつのモデルとして学習性無力ラットを用いて、時間生物学的検討を行った。うつの時間的表現型として、周期の短縮、またリン酸化GSK3betaの量的変動を見いだす等、うつとリズムの関係に関しては、予備的データを蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
時計たんぱく質を用いた生化学的解析から、GSK3betaのリン酸化標的として、PER2を同定した。PER2のリン酸化に関して、リン酸化部位を同定し、その動態解析に必要な特異抗体、モデルマウス等を作製する。
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