研究課題
(1) [神経の双方向性の成熟度変化の分子機序の解明] バイオインフォマティクスツール・BaseSpace (イルミナ)を用いたバイオインフォマティクス的解析により、非成熟歯状回で変動している遺伝子群の絞り込みを行い、i非成熟歯状回を引き起こす必須のコモンパスウェイの検討を進めた。(2) [神経成熟度を薬物や各種刺激により自在に制御する方法の探索と確立] (1)で絞り込みを行ったパスウェイの中から、神経成熟度を制御できる可能性のある分子を検討し、薬剤投与により神経成熟度の制御を試みた。非成熟歯状回を呈するマウスでは、顕著な行動異常とともに神経細胞で過剰興奮が起こっていることが示唆されていることから、同マウスにカリウムチャネルのactivator等の薬剤投与を行ったが、行動異常等の表現型を改善するには至っておらず、引き続き、候補薬剤の探索、検討を行っている。(3) [神経細胞の双方向性成熟度変化の機能的意義の解明] 非成熟歯状回では、遺伝子発現や神経細胞の電気生理学的興奮性が大きく変化していることから、シナプス、スパイン、樹状突起などの形態的変化も生じていることが予測される。Shn2欠損マウスの歯状回ニューロンについて、3D電顕コネクトーム解析により神経細胞の形態的変化を詳細に調べた。その結果、同マウスでは、樹状突起や核、ミトコンドリアの形態異常、神経細胞密度の低下していることを示した(Nakao et al., 2017)。こうした形態変化が、非成熟歯状回に特異的かどうかを調べるため、現在、非成熟歯状回を呈する他の系統でも同様な異常が認められるかについて、検討を行っている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 10件、 招待講演 4件)
Neuropsychopharmacology
巻: 43 ページ: 459~468
doi: 10.1038/npp.2017.167
Molecular Brain
巻: 10 ページ: 60
doi: 10.1186/s13041-017-0339-2
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 44531~44531
doi: 10.1038/srep44531