研究課題/領域番号 |
25244003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 公益財団法人中村元東方研究所 |
研究代表者 |
釈 悟震 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (80270536)
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研究分担者 |
奈良 修一 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (00260125)
金子 奈央 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (00558538)
吉村 均 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (20280654)
前田 專學 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 総括研究員 (40011366)
有賀 弘紀 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (50290995)
森 和也 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (60277788)
佐久間 留理子 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (60280658)
佐藤 宏宗 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (60300795)
西村 玲 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (80390764)
佐々木 一憲 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (80508515)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近代西洋の共生思想 / 比較思想 / 仏教と他宗教の共存 / 平和思想 / 近代的共生思想の限界 / 東アジアの共生思想 / 異る宗教との共生思想と和合 / インド的共生思想 |
研究概要 |
本プロジェクトは、先行する【基盤研究(A)(2)】中世インドの学際的研究(研究代表者前田專學:平成14~16)、【基盤研究(A)】インド宗教思想の多元的共存と寛容思想の解明」研究代表者釈悟震:平成19~21)というインドにおける宗教共存思想総合研究以来の研究実績を踏まえ新プロジェクト内容を加味した研究成果を関連学会殊に日本印度学仏教学会、日本宗教学会等で積極的に研究発表を遂行すると同時に、学会に参加し意見交換を行った。また本プロジェクトの基本的な方法論と方向性確立のための基礎作業として哲学、科学史、比較文明学の泰斗の伊東俊太郎博士を講師に研究会を行った。また日本学術会議・哲学委員会・古典精神と未来社会分科会と本研究の共催事業「グローバル化社会における伝統知と古典教育の意義を探る」という一般向け公開シンポジウムを島根県松江市で開催その運営にも連携研究丸井浩を中心に積極的に関わり、その成果を公開した。さらに本プロジェクト受け入れ機関公益財団法人中村元東方研究所が第68回日本印度学仏教学会の開催校となり、その開催運営に深く関わり本研究課題解明の為、情報を学際的に発信した。 個別研究活動においても研究代表者釈悟震を始め丸井浩、日野昭運、佐久間留理子は当該研究地(海外)において本研究課題を解明したく積極的な調査活動を遂行しその成果を随時学際的及び一般に向けて公開中である。更に前田專學、有賀、西村、佐藤、佐々木、金子、奈良、森、吉村、池澤優、小野基、保坂俊司、山下博司、水野善文は研究資料収集と、その分析を著作、専門誌、啓蒙誌等において積極的に公開している。また中村元東方研究所が開催校となり、平成26年度7月20日に島根県松江市の中村元記念館にて第41回比較思想学会学術大会の開催する予定であり、学会テーマにも本研究課題の意向を反映させ研究発表者全8人中2人が本プロジェクト要員から選ばれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本プロジェクトの研究体制の基本的な整備は完了し、また研究方法の確立のために、哲学・比較文明学者伊東俊太郎博士から多くを学ぶことができ今後の研究に大きな示唆をえられた。 其々の研究状況については以下の通り全体として予想以上に良好である。先ず研究代表者の釈は、スリランカにてペラベニア大学仏教学部、社会学部の教授陣との協力を得て調査研究を行った。研究分担者の前田專學は、「日本印度学仏教学会」を主宰するとともに、ヴェーダンタ哲学における「共生に思想」を踏まえて講話、講義を行った。有賀弘紀は同学会学術大会実行委員会の事務局長として実務を担当しつつ、担当分野の研究をおこなった。中国禅思想における共生思想の金子奈央は、研究計画に沿って研究を進め、佐久間留理子、佐々木一憲、吉村均は積極的に調査や資料調査、分析を行い、その成果を学会に発表した。日本における共生思想担当の森和也は中央大学総合文化研究所における講演や『在家仏教』の連載記事にて、その成果を発表し、西村玲は近世中国・日本の仏教共生の思想研究の成果を公にしている。奈良修一はインド・イスラーム担当の保坂俊司と連携しつつ、インドネシアのスーフィズム思想を中心に検討した。 また連携研究者丸井浩は、多元的世界観と分析主義を基調とするヴァイシェーシカとニヤーヤの哲学における画一的カテゴリー論の成果をハワイ大学にて開催の学会で発表し、同時に各国の研究者と意見交換した。同山下博司はホスト社会との共生の文脈から調査・研究行った。同保坂俊司は研究代表者釈悟震とスリランカにて共同研究を行い、仏教とイスラームとの交流について、調査し、またシク教の文献とシク教徒へのインタヴューを行ないその成果は台湾の学会で報告した。日野紹運、水野善文、池澤優は、研究計画に添って研究を行ない、その成果発表の準備も合わせて行ない、初年度の研究計画以上順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトは、先行する【基盤研究(A)(2)】「中世インドの学際的研究」(研究代表者前田專學:平成14~16)、【基盤研究(A)】「インド宗教思想の多元的共存と寛容思想の解明」(研究代表者釈悟震:平成19~21)以来連続する問題意識を共通基盤として共有し、アジア型の共生思想に関する基礎的研究を、多面的、総合的に行うことを目指している。そのために、古典文献や歴史資料の分析を中心としつつも、同地域の現代問題への関心、つまり現実社会の諸問題に関しても研究対象の一部としており、現在問題への関心も引き続き維持する。と云うのも、本プロジェクトは、現代の国際秩序の基本理念を構成するセム的、あるいはアングロサクソン的、さらにはイスラーム的な発想とは根本的な精神基盤や思想構造を異にするアジア的、さらに言えばインド的共生思想に関する基礎的研究から、その存在の抽出、現代問題への適応、さらにはそれを基礎とした共生思想、さらには平和思想の本研究プロジェクトからの提言を目指し各研究員や連携研究員は、研究代表者釈を中心に、引き続き積極的に調査研究、さらには成果の公表を行う。 なお、本年度は、本プロジェクトの一環として、「共生の思想ーー中村元の「慈悲」の思想をてがかりにーー」と題するシンポジュームを「第41回比較思想学会学術大会」を島根県松江市に於いて開催することとなった。このシンポジュームには、丸井浩がパネリストとして研究成果を発表するが、他に、本プロジェクトからは、佐々木一憲、吉村均の両名が僅か8人の研究発表者の中に選ばれ成果を発表する。また、海外の学者との交流計画については、スリランカからペラデニヤ大学パーリ仏教学部教授のニャーナナンダ博士やソウル大学の金鍾瑞博士を招聘するなど、昨年度以上に積極的に活動を行ない、本プロジェクト課題解明に一層の研究を推進させる。
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