研究課題/領域番号 |
25244006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤岡 穣 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70314341)
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研究分担者 |
淺湫 毅 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部博物館教育課, 教育講座室長 (10249914)
岩田 茂樹 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 部長補佐 (20321622)
浅見 龍介 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 上席研究員兼企画室長 (30270416)
楠井 隆志 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 課長 (30446885)
稲本 泰生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70252509)
加島 勝 大正大学, 文学部, 教授 (80214295)
皿井 舞 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 主任研究員 (80392546)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 金銅仏 / 東アジア / 蛍光X線分析(XRF) / 飛鳥大仏 / 南朝造像 |
研究実績の概要 |
本年度は、大阪大学総合学術博物館企画展「金銅仏きらきらし-いにしえの技にせまる-」(会期:10月24日~12月22日)を企画した。同展には東京藝術大学、大阪市立美術館、白鶴美術館、香雪美術館、妙傳寺(京都市)から借用した金銅仏44件に加え、興福寺仏頭制作工程模型、興福寺仏頭レプリカ、金銅仏の制作技法解説パネル等を展示し、5030名の観覧者を集めた。また、同展のカタログを兼ねて本研究の成果報告書(56頁)を刊行し、大阪大学Σホールにおいて国際シンポジウム「金銅仏の制作技法の謎にせまる」(12月12日)を開催し、172名の参加者を得た。 調査活動は、以下のとおり実施した。蛍光X線分析を含む金銅仏の調査としては、東京藝術大学26件(5/1)、大津市歴史博物館1件(6/2)、東京国立博物館33件(7/7-9)、国立慶州博物館9件(7/27)、国立慶州文化財研究所11件(7/28)、西大寺四王堂四天王像1件(8/3)、岡山安養寺2件(10/1)、龍谷ミュージアム4件(11/18)、東京国立博物館金銅灌頂幡1件(12/18)等を実施し、その他、慶州(韓国)、南京、成都(中国)等において関連調査を行った。また、飛鳥大仏の第1次調査を実施し、蛍光X線分析の予備調査、体部、面部などの3次元計測、内部観察等を行った。 韓国国立中央博物館において開催された特別展「古代仏教彫刻大展」の企画に協力し、同展記念国際シンポジウム「古代仏教彫刻の流れ」に参加して研究成果の一端を発表するとともに、同展出品作品の共同調査を行った。 これまでの調査において、日本、朝鮮半島、中国の各地域における、また時代における金銅仏の青銅成分の傾向ないし特色がかなり把握できるようになった。その成果は前述の成果報告書において「金銅仏の蛍光X線分析、そしてそれから分かること」と題して公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学総合学術博物館における企画展および国際シンポジウムを予定どおり開催し、成功裡に終えた。カタログを兼ねた研究成果報告書を刊行できたのは、当初の計画以上の成果であった。 韓国国立中央博物館において開催された大規模な仏教彫刻展にアメリカ、イギリス等に所在する金銅仏が出品されていたおかげで、現地に行かずともそれらの作品調査が実施できたのは幸運であった。これによって節約できた経費を利用して、当初は計画になかった飛鳥大仏の調査を実施することとした。 飛鳥大仏の調査は、当初は今年度に完了する予定であったが、X線回折(XRD)の機器の準備、調査日程の調整の都合等から今年度は第1次調査までしか実施できなかったため、一部予算を次年度に繰り越し、第2次調査については次年度に実施することにした。この点に関しては、結果的に調査研究の実施が遅れてしまったことになるが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、飛鳥大仏の第2次調査(最終調査)を実施し、その調査報告を刊行する予定である。また、昨年度に実施できなかった中国山東における金銅仏調査の実現が大きな課題である。 これまでの調査、とりわけ蛍光X線分析の成果として、中国、朝鮮半島、日本の各地域、そして各時代による金銅仏の青銅成分の傾向ないし特色がかなり把握できるようになったが、調査のサンプル数をさらに増やして、その精度を高めていく必要がある。
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