研究課題
各研究者の文献研究を基礎とし、それを定期的な研究会やシンポジウムなどによって協同の検討に附すという手順で、概ね研究計画どおりに調査が進展した。川端(代表者)は調査全体を統括しながら、芸術と社会をめぐるウィリアム・モリスの一連の批評がモダニズム作家におよぼした影響について考察した。山田(分担者)はウェールズの作家アラン・リチャーズを中心に、スウォンジー大学アーカイヴ等で文献ならびに音声録音資料を調査した。遠藤(分担者)は、心理学的言説、特に精神分析的な見地から再定義された「情動」という文脈で各種文学テクストの解釈を試みた。その試みを支える理論的な枠組みとしてマルクス主義的な美学を採用し、その「残滓」性の精神分析的な(単なる疎外論ではない)再解釈が主目的となった。河野(分担者)と大貫(分担者)の二名は2016年4月から9月2日にかけてウェールズのスォンジー大学にリチャード・バートン・センター・フェローとして所属し、ウェールズ文学とレイモンド・ウィリアムズについての研究を進めた。9月の帰国以降は、河野はウェールズで得られた資料を検討しつつウェールズ文学についての基礎研究を進め、大貫はニューレフト第一世代の執筆活動について、ウェールズ英語文学ならびにソーシャリズム言説との関わりという観点から考察を進めた。西(分担者)はレイモンド・ウィリアムズにおけるエコロジーについて研究を進め、5月にドイツのアウクスブルクでの国際学会で発表を行った。鈴木(分担者)はオスカー・ワイルドの批評ないしは美学が、19世紀末に注目を集めていたアナキズム思想といかなる関係にあったのかを同時代の詩人マラルメとの比較を通じて考察した。また、ポール・ド・マンによる美学イデオロギー批判の検討を通じて、近代思想の源流に位置づけられるカント及びルソーのテクストがある種の「無情動」を抱え込んでいることを考察した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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レイモンド・ウィリアムズ研究
巻: 7 ページ: 41-52
巻: 7 ページ: 73-77
巻: 7 ページ: 78-85
ヴィクトリア朝文化研究
巻: 14 ページ: 3-32
オスカー・ワイルド研究
巻: 15 ページ: 39-54
巻: 15 ページ: 81-96
http://raymondwilliams.jp/wordpress/
https://www.newwelshreview.com/article.php?id=1190
https://www.iwanami.co.jp/book/b266514.html
http://www.vssj.jp/journal.html
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2308-5.html