研究課題/領域番号 |
25244020
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
清水 康行 日本女子大学, 文学部, 教授 (00148074)
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研究分担者 |
岩井 俊昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80183193)
魚住 純 北海学園大学, 工学部, 教授 (50184982)
村上 隆 京都美術工芸大学, 工芸学部, 教授 (00192774)
長崎 靖子 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (60419794)
篠崎 晃一 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00206103)
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
吉良 芳恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (80318584)
村岡 輝雄 日本女子大学, 文学部, 研究員 (50339529)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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キーワード | 日本語史 / 日本史 / 録音資料 / 音響工学 / 保存科学 |
研究実績の概要 |
言語史・文化史上の一次資料として極めて高い価値を有する蝋管等の最初期録音資料群の、国内外での所蔵状況調査、音源資料の保存、音声内容の復元再生、録音内容の分析、および広範な研究者間での情報共有に関する、多角的な観点からの総合的・横断的な研究を目的とする本研究課題の、研究第3年度となる本年度では、以下のⅠ~Ⅴに示す具体的な諸課題に取り組み、次年度の研究の進展および最終的な研究課題達成に資する研究成果を得ることが出来た。 Ⅰ・Ⅱ.蝋管等初期録音資料の保存方法の開発、および、音声復元方法の開発:低コヒーレンス干渉断層撮像法、疑似リニアイメージセンサ等の手法により、蝋管およびSPレコードの画像を取得し、当該資料群の保存および再生に関する基礎的な情報を集積した。また、蝋管表面の汚染因子のレーザーによる除去の方法を検討した。加えて、GHA方式による復元再生音質の改善実験を展開した。 Ⅲ.国内外の初期録音所蔵機関の訪問調査:連合王国・フランス等に海外出張し、各地の録音資料所蔵機関を調査した。特に、フランス国立図書館での日本語録音資料群に関する詳細な調査により、吹込者を特定し、その言語資料的な価値について明らかにした。 Ⅳ.初期録音資料群の言語内容情報の日本語史的分析:上掲Ⅱ・Ⅲで新たに得られた音源や既公開の日本語録音に関して、言語内容の分析を進めた。並行して、フランス国立図書館・国会図書館等に収集された関連文献資料の調査も行なった。特に、中近世における日本語の音声的特徴を明らかにするため、謡と近世邦楽を中心に、譜本類と初期録音資料群での音声内容とを比較検討した。また、落語口演速記本の調査を進めた。 Ⅴ.初期録音資料群に関する情報共有法の整備:上掲Ⅲでの国内外の機関調査の際、諸機関での情報公開の実態と展望について確認した。また、今後の情報共有と公開について意見交換を行なうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、研究課題達成に向け、各領域で、おおむね順調に研究が進展している。 ただし、Ⅴの初期録音資料群に関する情報共有法の整備については、具体的な方法の検討について、やや進捗していない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、これまでの研究実績を踏まえ、引き続き、上掲Ⅰ~Ⅴに示した具体的な課題に関する研究を展開・進展させ、この研究課題達成を目指していく所存である。 そのために、全体の研究計画の大幅な変更は、現時点では、必要無いと考えている。 なお、これまで必ずしも十分でなかった研究成果の発信について、特に、Ⅰの蝋管等初期録音資料の保存方法の開発、Ⅱの音声復元方法の開発、および、Ⅳの初期録音資料群の言語内容情報の日本語史的分析に関して、論文執筆等を通して、より積極的な成果発信を準備中である。 また、Ⅴの初期録音資料群に関する情報共有法の整備について、より積極的に具体的な方法を検討・実施していくように努力したい。
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