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2014 年度 実績報告書

国際コンソーシアムによる「原爆放射線被害デジタルアーカイブズ」の構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25244028
研究機関学習院大学

研究代表者

安藤 正人  学習院大学, 文学部, 教授 (90113422)

研究分担者 高橋 博子  広島市立大学, 付置研究所, 講師 (00364117)
入澤 寿美  学習院大学, 付置研究所, 教授 (20101587)
千葉 功  学習院大学, 文学部, 教授 (50327954)
加藤 聖文  国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70353414)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード原爆 / 放射線被害 / 記録 / デジタルアーカイブズ / 国際コンソーシアム / アーカイブズ学
研究実績の概要

【第1課題】「原爆放射線被害に関する資料のアーカイビングと国際コンソーシアムの構築」では、(1)ABCCなどが作成した原爆放射線被害記録について本年度は外国調査をほとんど実施できなかったが、テキサス医療センター所蔵のABCC関係者個人史料1件について、同館の協力で目録データの入力を実施した。国内では全国の関係機関を対象に原爆放射線被害関係記録に関するアンケート調査を実施した。また広島大学原爆放射線医科学研究所、長崎大学原爆後障害医療研究施設において現地調査を行った。(2)米国科学アカデミー所蔵ABCC資料を主な素材とし、デジタル・アーカイビング・モデルの作成に向けた研究を、テキサス医療センターとの国際共同パイロット・プロジェクトとして実施した。スカイプを利用した日米両チームの研究協議に加え2015年1月にはテキサス医療センターから3人を招聘して学習院大学でワークショップを開催した。プロジェクト報告書では、Omeka、AtoMという二つのシステムをテストした結果、Omekaの採用が適切であるとの結論が示された。(3)原爆放射線被害記録の公開に伴うプライバシー保護の問題について、国内アーカイブズ機関の関係者を招いて研究会を実施した。
【第2課題】「原爆被害調査に関するオーラル・ヒストリー」について、旧ABCC関係者ならびに原爆放射線研究者等の聞き取り調査を実施すべく、候補者の選定を行った。来年度に実施予定で現在交渉中である。
【第3課題】「アジア諸国等における原爆その他の大量破壊兵器及び放射線被害関係資料の調査」として、サイパンとグアム(北マリアナ大学北マリアナ諸島アーカイブズ、グアム大学ミクロネシア地域研究センター、スペイン文書コレクション)、スウェーデン(国立公文書館、国立軍事公文書館)、フィンランド(オウル州立公文書館)、デンマーク(国立公文書館)などの調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主な課題である【第1課題】「原爆放射線被害に関する資料のアーカイビングと国際コンソーシアムの構築」については、ほぼ研究計画通りに研究が進展している。まず原爆放射線被害に関する資料のアーカイビングについては、米国科学アカデミー所蔵ABCC(原爆傷害調査委員会)資料の画像データを主な素材とする日米共同のパイロットプロジェクト研究が順調に進展し、デジタルアーカイブズ・システムの概要が固まりつつある。この点については、本年度夏に開催される米国アーキビスト協会の大会で研究報告を行ってアーカイビング・モデルを確定し、今後2年間の研究期間内に、公開する資料の選定とメタデータ付与等の作業を行って、デジタルアーカイブズの構築を実現させる見通しである。また国際コンソーシアムの構築については、米国テキサス州ヒューストンにあるテキサス医療センター図書館がホスト機関となる方向で協議か進んでいる。
副課題である【第2課題】「原爆被害調査に関するオーラル・ヒストリー」は必ずしも予定通り進展していないが、準備は進んでおり本年度内に実施できる見通しである。
もう一つの副課題である【第3課題】「アジア諸国等における原爆その他の大量破壊兵器及び放射線被害関係資料の調査」については、精力的に外国調査を実施して貴重な情報が蓄積されつつあり、ほぼ順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

【第1課題】「原爆放射線被害に関する資料のアーカイビングと国際コンソーシアムの構築」については、テキサス医療センターとの共同研究を軸として研究を進める。まず原爆放射線被害に関する資料のアーカイビングについては、米国科学アカデミー所蔵ABCC(原爆傷害調査委員会)資料の画像データを主な素材とした昨年度のパイロットプロジェクト研究の成果をもとに本年8月に米国で開催される米国アーキビスト協会大会で参加し、テキサス医療センターの研究者と共同研究発表を行う。また11月にはテキサス州ヒューストンの同センターでも研究会を開催する。実際にデジタルアーカイブズを構築するためのABCC資料の選定とメタデータ付与については、写真資料と文書資料とをそれぞれ対象とする2チームを設け、分析とデータ記述の作業を進める。また国際コンソーシアムの構築については、11月のテキサス医療センターにおいて協議を行い方向を固めるとともに、同センターならびにコンソーシアム参加の意向を表明している米国科学アカデミーアーカイブズなどと協力して、米国ならびに日本国内の関係機関へのコンソーシアム参加呼びかけを行う。またプライバシー保護の問題についても、国内での研究を進めるほか、、11月のテキサス医療センターにおける研究会で日米共同研究を行う。
【第2課題】「原爆被害調査に関するオーラル・ヒストリー」については、現在進めているABCC元職員や原爆放射線被害調査活動参加経験者へのインタビュー要請を続け、可及的速やかに実施する予定である。
【第3課題】「アジア諸国等における原爆その他の大量破壊兵器及び放射線被害関係資料の調査」については、ロシア、韓国、その他関係国、関係機関との折衝が進んでおり、順調に調査が実施できる見通しである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 市民社会における「個人情報」保護のあり方 : 公開の理念とアーキビストの役割2015

    • 著者名/発表者名
      加藤聖文
    • 雑誌名

      国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇

      巻: 11 ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 書評 曽田三郎『中華民国の誕生と大正初期の日本人』2015

    • 著者名/発表者名
      千葉功
    • 雑誌名

      史学研究

      巻: 275 ページ: 51-58

  • [雑誌論文] 書評 ビキニ水爆被災60周年 : サンゴ環礁社会の絆から非核の絆へ : 中原聖乃『放射能難民から生活圏再生へ : マーシャルからフクシマへの伝言』2014

    • 著者名/発表者名
      高橋博子
    • 雑誌名

      平和研究

      巻: 43, ページ: 152-157

  • [雑誌論文] ハイゼンベルグ原子炉の謎(歴史の小径2014

    • 著者名/発表者名
      政池明
    • 雑誌名

      日本物理學會誌

      巻: 69(4) ページ: 227-229

  • [雑誌論文] 原爆・被ばく関連資料データベース(新聞記事)のテキスト解析の試み2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤裕哉他
    • 雑誌名

      広島医学

      巻: 67(4) ページ: 406-409

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「科学史・医学史とアーカイブズ/2014年度日本科学史学会生物学史分科会・夏の学校」参加記2014

    • 著者名/発表者名
      久保田明子
    • 雑誌名

      ,アーカイブズ学研究

      巻: 21 ページ: 116-122

    • 査読あり

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公開日: 2016-06-01  

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