研究課題/領域番号 |
25244043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (40261250)
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研究分担者 |
森田 敦郎 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (20436596)
山崎 吾郎 大阪大学, 人間科学研究科, 研究員 (20583991)
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
菅原 和孝 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 名誉教授 (80133685)
窪田 幸子 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80268507)
近藤 和敬 鹿児島大学, 法文教育学域業文学系, 准教授 (90608572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 在来知 / 近代科学 / 知識 / 技術 / 共有プロセス / 人類学 / 民族誌的分析 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
本年度は、次の調査と研究会を行った。 (1)第1回全体研究会:分担者および協力者の全員で全体研究会を行い、代表者が昨年度の調査と研究の成果に基づいて本年度の調査と研究の全体方針を示すとともに、本年度の調査と研究の方針について議論を行い、本年度の調査と研究の枠組みを整理した。 (2)フィールド班の調査:第1回全体研究会で検討された枠組み、さらに昨年度(2014年度)の国際ワークショップで海外から招待した延べ10人ほどの研究者からのコメントに基づいて、それぞれの調査地で引きつづきフィールド調査を行った。その調査地と調査の内容は以下の通りである。大村はカナダ極北圏(イヌイトの知識と近代科学の比較)、菅原はボツワナ(ブッシュマンの知識と近代科学の比較)、窪田はオーストラリア(アボリジニの知識と近代科学の比較)、森田はタイ(伝統治水技術と近代治水技術の比較)、スチュアートはグリーンランド(イヌイトの知識と近代科学)、飯田はマダガスカルと日本の南西諸島(漁民の技法と近代漁業技術)。 (3)理論研究:第1回全体研究会で検討された枠組み、さらに昨年度(2014年度)の国際ワークショップで海外から招待した延べ10人ほどの研究者からのコメントに基づいて、理論研究班の分担者は、各自、在来知と近代科学の共通性と相違について理論的な検討を行うとともに、研究会を4回開催して議論を深めた。それぞれの研究領域は以下の通りである。大村は人類学の在来知研究、森田は科学技術論、山崎は科学人類学と医療人類学、近藤は科学哲学、菅原は相互行為論。 (4)大村がカナダ極北圏のヌナヴト準州政府のIQ(イヌイトの知識)ワークショップに参加し、本研究プロジェクトの成果を発表した。 (5)初年度に設置したネット上のホームページを随時更新し、以上の研究の状況を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の三年目である本年度においては、当初の予定通り、初年度と二年目の成果に基づいてフィールド調査班の調査と理論研究班の理論研究を次のように順調に実施することができた。 全体研究会で過去二年間の成果を取りまとめ、その成果に基づいて本年度の調査・研究の方針と概念的な枠組みを整理し、その方針と枠組みに基づいて、フィールド調査班はフィールド調査を、理論研究班は各自の理論研究をすすめることができた。また、昨年度(2014年度)の国際ワークショップで海外の研究者から受けたコメントを参考に、上記のフィールド調査と理論研究を深めることができた。現在、フィールド調査班は、それぞれが担当する地域において、在来知と近代科学が絡み合いながらいかに相互の独自性を発達させているのかについて民族誌的な調査をすすめ、理論研究班はそのフィールド調査班の成果を考慮しながら、在来知と近代科学が分岐しつつ絡み合うメカニズムについて理論的な研究をすすめている。 このようにフィールド調査班と理論研究班のいずれにおいても、過去二年間の成果を活かして調査と研究をすすめることができており、本年度の調査と研究は、当初の予定通り、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
過去二年間と本年度の調査・研究の成果に基づいて、フィールド調査班は引きつづき各地域でフィールド調査をすすめるとともに、理論研究班は在来知と近代科学が分岐しつつ絡み合うメカニズムに関する理論研究をすすめる。また、今後も、各年度ごとに、一回から二回の全体研究会を実施し、その場で理論研究班とフィールド研究班の成果を交換して検討することを通して、両研究班の成果の綜合を行い、在来知と近代科学が分岐しつつ絡み合うメカニズムについて一般理論の構築につとめる。そして、2016年の12月に大阪に海外からの研究者を招いて国際会議を開催し、2017年の5月にカナダのトロントで同様の国際会議を開催することで、本研究の成果を海外の最先端の研究者に問い、そこでの議論を通して本研究で構築する理論を洗練し、2017年度にその成果を英語で出版する。 したがって、本研究の研究計画を変更する必要はなく、今後、本研究を遂行するうえでの問題点もない。
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