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2013 年度 実績報告書

精神障害少年の非行対策における法律学と精神医学との連携:発見から処遇まで

研究課題

研究課題/領域番号 25245009
研究種目

基盤研究(A)

研究機関南山大学

研究代表者

丸山 雅夫  南山大学, 法務研究科, 教授 (50140538)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード非行 / 少年法 / 精神医学 / 処遇 / 精神障害 / 刑事政策
研究概要

本年度は、研究をスタートさせた年度であり、主として文献研究(参加者の個人研究による)と施設参観、さらにはそれらの成果を議論・検討するための研究会を中心として、非行少年対策における法律学と精神医学との連携に関する基礎的な状況を確認することを主眼に置いて遂行した。
研究会は、4回開催した。第1回(5月)は、前回申請の類似課題にもとづいて行った国内の施設参観についての報告と議論を行った。第2回(7月)は、「非行少年の心理アセスメント」の現状についての報告と「少年の責任」に関する司法精神医学の立場からの報告を受けた後、議論と検討を行った。第3回(11月)は、10月末から11月初めにかけて行った海外視察(ニューヨーク、サンフランシスコ)の結果についての報告にもとづいて、検討を行うとともに、次回の海外視察についての予定を策定した。第4回(2月)は、海外視察の報告を続けた後、医療少年院における処遇の現状について現場の方からの報告を受け、検討を行い議論した。研究会としては、研究計画をほぼ達成したが、法律学の理論的側面からの実績が必ずしも十分でなく、したがって成果を示す公刊業績も多いものとはいえない状況であり、次年度以降の課題として残されている。
施設参観および現場との意見交換については、10月末から11月初旬にかけて、ニューヨークおよびサンフランシスコにおいて、合計で12箇所の施設を参観して活発な意見交換をすることができ、いずれも有意義な成果を上げている。他方、国内施設については、参観をすることができず、次年度以降の課題として残されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の推進方法は、文献研究、施設参観、研究会の3本柱からなっている。
文献研究については、研究会参加者の各人が個人の責任において遂行し、その成果を研究会等によって共有する一方で、個人の業績として公刊することになっている。現時点での状況については、全体として、公刊業績が必ずしも多いとまでは言えず、研究会での報告も必ずしも十分なものと言えるまでにはなっていない。特に、法律学における理論的研究の状況は「活発」なものとまでは言えず、したがって、精神医学との連携についての議論も深まるまでになっていない。他方、精神医学の側面においては、研究会参加者のそれぞれが現場を持っていることもあり、関連業績を含めて十分なものがあると言ってよい。今後は、法律学と精神医学の双方における個人研究を前提として、「非行(少年)対策」として両者の有機的な連携をどのように図り、具体的な提言につなげていくかが課題となっている。
施設参観については、海外施設12箇所を2グループに分けたうえで(ニューヨーク8箇所、サンフランシスコ4箇所)訪問するとともに、処遇現場等の担当者から「生の声」を聞くことによって、多くの知見を得ることができ、有意義であるとともに、当初の目的を十分に達したものと評価できる。その結果については、直後の研究会において報告し、参観に参加しなかった者を含めて十分な議論がなされたものと判断している。ただ、その一方で、報告書形式で公にして広く情報を発信することまでには至っておらず、今年度の大きな課題であると認識している。また、国内の施設については、参観することができず、今後の課題として残されている。
研究会については、施設参観関連は十分な成果があった一方で、理論的研究(特に法律学)に関するものが十分でなく、研究責任者としての努力が足りなかったことを反省するとともに、今後に向けて努力していきたい。

今後の研究の推進方策

本年度の達成度との関係で、今後の推進については、それぞれ次のようにすることを考えている。
第1は、各研究者が個人で行っている文献研究について、研究者間の情報交換をより緊密に行うことにより、その進捗状態を確実に把握したうえで、積極的な発信(研究会等での報告と学術業績としての公表)を促すこととする。特に、法律学における理論的研究の活性化を意識的に促進していきたい。
第2に、施設参観については、海外施設の参観を従来通りに継続していくとともに、国内の施設についても、重点施設を選定したうえで並行的に行っていく。また、参観期間と施設数の関係についても、本年度はあまりにタイトなスケジュールであったことの反省に立って、個々の施設についてより濃密な成果が上がるような形で整理した計画を立案し、重点的に実行していく。
本年度の研究遂行で最も反省すべき点は、研究会のあり方であった。研究初年度ということもあって、若干、「場当たり的」に研究会を開催したことを否定できない。そこで、第3として、次年度以降においては、長期的な視点から研究計画を再検討したうえで、系統だった研究会開催を行っていく。特に次年度においては、非行少年にかかわる施設や組織における精神医療的対応の実情を明らかにするとともに、法律学および精神医学における理論的研究を並行的に行い、適宜、研究会において両者のすり合わせを行うことに重点を置くこととする。それによって、法律学と精神医学との有機的連携(共働)という最終目的に向けた土台を形成していく。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 小学生を対象にした学習支援グループ"キッズ・ゼミ"に参加した母親への心理的援助について2014

    • 著者名/発表者名
      早川徳香
    • 雑誌名

      アカデミア人文・自然科学編

      巻: 7号 ページ: 171,180

  • [雑誌論文] カナダの少年司法政策 ― 非行少年法から少年刑事裁判法へ2013

    • 著者名/発表者名
      丸山雅夫
    • 雑誌名

      南山法学

      巻: 36巻3・4合併号 ページ: 85,128

  • [雑誌論文] 教育現場における学生の心のケア2013

    • 著者名/発表者名
      岡田暁宣
    • 雑誌名

      臨床検査学教育

      巻: 5巻2号 ページ: 79,83

  • [雑誌論文] セルフケアについて2013

    • 著者名/発表者名
      岡田暁宣
    • 雑誌名

      IRIS HEAlLTH

      巻: 12巻 ページ: 17,23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム障害における聴覚障害2013

    • 著者名/発表者名
      早川徳香
    • 雑誌名

      健康医療科学研究

      巻: 3号 ページ: 1,7

  • [雑誌論文] ニューヨーク州性行動治療クリニックから学ぶこと2013

    • 著者名/発表者名
      東本愛香
    • 雑誌名

      精神科

      巻: 23巻5号 ページ: 223,228

    • 査読あり
  • [学会発表] 少年司法と家庭 ― 非行少年の親に対する介入を中心として

    • 著者名/発表者名
      丸山雅夫
    • 学会等名
      上智大学生命倫理研究所・南山大学社会倫理研究所合同シンポジウム
    • 発表場所
      上智大学国際会議場
    • 招待講演
  • [学会発表] 心神喪失者等医療観察法における法律と医療

    • 著者名/発表者名
      町野朔
    • 学会等名
      指定医療機関従事者研修会
    • 発表場所
      天満研修センター
    • 招待講演
  • [学会発表] 精神鑑定の法的側面

    • 著者名/発表者名
      町野朔
    • 学会等名
      刑事精神鑑定ワークショップ
    • 発表場所
      学術綜合センター
    • 招待講演
  • [学会発表] 精神障害者の権利 ― 刑法・維持法・生命倫理・福祉

    • 著者名/発表者名
      町野朔
    • 学会等名
      生命科学研究の規制と支援の法制度に関する包括的研究
    • 発表場所
      東北大学片平キャンパス
    • 招待講演
  • [図書] 今、子どもを想う2014

    • 著者名/発表者名
      丸山雅夫ほか
    • 総ページ数
      93
    • 出版者
      上智大学生命倫理研究所
  • [図書] アメリカ少年法の動態2014

    • 著者名/発表者名
      服部朗
    • 総ページ数
      375
    • 出版者
      成文堂
  • [図書] ブリッジブック 少年法入門2013

    • 著者名/発表者名
      丸山雅夫
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      信山社

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公開日: 2015-05-28  

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