研究課題/領域番号 |
25245029
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大沼 保昭 明治大学, 法学部, 教授 (50009825)
|
研究分担者 |
木畑 洋一 成城大学, 法学部, 教授 (10012501)
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195580)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90596793)
長縄 宣博 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (30451389)
平野 聡 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00361460)
平野 千果子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00319419)
茂木 敏夫 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10239577)
渡辺 浩 法政大学, 法学部, 教授 (10009821)
|
研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2017-03-31
|
キーワード | 世界史 / 文明 / 文化 / アイデンティティ / 地域 / 国際秩序 |
研究実績の概要 |
15世紀以降の欧州諸国の他地域への侵出と産業革命等の結果、世界は欧米中心的な主権国家・資本主義体制に覆われ、欧米中心の認識枠組みを共有しているが、21世紀には中国が超大国として復活する可能性が高い。本研究は、アジアの経済的覇権の再確立と欧米の知的覇権の持続という権力の亀裂が国際秩序に深刻な対立を生む可能性に着目し、人間をさまざまな集団・文化に重層的に帰属する存在として捉えることで、既存の諸概念の実体化からの解放、「国家間対立」「文明の衝突」等の発想克服への道を探ってきた。その手法として、世界史のいくつかの段階に着目し、その時期の世界を同時代で「輪切り」にして、世界の各地域に存在していた地域秩序、価値観や文化、人々の重層的なアイデンティティの様相を探ってきた。 本年度は、二つの時期を扱った。一つは、18世紀である。世界の中でのヨーロッパの優位が未確定のこの時期、独自の構成原理を有した東アジアおよびイスラーム地域について、その地域システムのあり方を検討した。今一つは、第二次大戦後の脱植民地化の時期である。欧米の優位を支えた植民地支配が崩れ、冷戦と新たな地域秩序の模索の中で様々な選択肢が存在したこの時期について、アフリカ、インド、フランス植民地、朝鮮と台湾の事例を検討した。同時に「脱植民地」概念をいかに規定するかという問題をも含め、ソ連の解体、中国におけるチベット・ウィグル問題も分析した。さらに、同時代の「輪切り」の視点の有効性とその限界を考えるため、宗教を軸に世界史を捉える視点を複数の報告者の報告とそれに対する質疑、批判を通じて検討した。基本的に報告は海外研究協力者(Urs Matthias Zachmann)を含む共同研究者によるものだったが、アフリカについては外部講師の武内進一氏に報告を依頼し、同氏はその後共同研究メンバーとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の病気で研究の遅れが危ぶまれたが、夏までには体調も回復し、共同研究の基盤となる年3回の研究会を開催して各メンバーが研究成果を共有することは、予定通り実現することができた。研究代表者の研究成果の欧文翻訳・刊行について、事務作業上、若干遅延が発生したものの、共同研究における研究活動そのものは、おおむね順調に進んだものと言えよう。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度も、年3回の研究会を通じ、研究成果の共有と、研究手法の批判的検討を進め、研究成果としてまとめていく。これまでの議論の成果を踏まえて作業課題を再設定し、新たな研究協力者や外部講師を迎えることでさらなる研究の進捗を目指す予定である。
|