研究課題/領域番号 |
25245032
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西沢 保 一橋大学, 経済研究所, 教授 (10164550)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済思想 / ケンブリッジ / オクスフォード / 厚生経済学 / 福祉国家 / 自由主義 / 国際研究者交流(米・伊・英・独・仏・メキシコ) / 国際情報交換(伊・英・独・仏) |
研究概要 |
2013年度の研究成果は、まず、西沢保・小峯敦編『創設期の厚生経済学と福祉国家』(ミネルヴァ書房、2013年8月)が刊行されたことである。これは西沢と研究協力者Backhouse を中心に行ってきた「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」の共同研究の大きな成果である。また、『経済研究』(一橋大学)の小特集「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」(2014年4月刊行)も関連する研究成果で、4つの論文が含まれている。 研究協力者Caldari・西沢で進めているマーシャルの未完の手稿 “Progress” に関わる共同論文が 2014年2月に European Journal of the History of Economic Thoughtに掲載され、また“Progress” を再構成する作業も Book Iについては、校閲注も含めてほぼ作業が完成した。“Liberalism and the Welfare State: from new liberalism to neo-liberalism”の出版準備も進行している。 3月15-17日に国際コンファレンス(第1部 ‘Welfare economics and the welfare state in historical perspective’、第2部 ‘Present and past globalization: Keynes’s relevance today’)を一橋大学で開催し、海外から12名招聘し、合計19のペーパーが報告され、大きな成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年、研究計画に即して国際コンファレンスを開催し、国際的な共同研究のネットワークを着実に構築し、その成果を公刊することを目標としている。2013年度は、2014年3月15-17日の3日間、一橋大学で国際コンファレンスを行った。イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、メキシコから12名の研究者を招聘し、合計19のペーパーが報告された。日本の関連研究者を交えて、連日30-40名の参加者があり、議論と討議を深め、国内外の研究者間の積極的な交流・意見交換が行われ、非常に有意義であった。参加者の1人で研究協力者のローマ大学のマルクッゾ教授は、海外の有数の出版社から成果を公刊することに高い評価を与えてくれた。 2013年度には西沢と連携研究者・研究協力者を中心に西沢保・小峯敦編『創設期の厚生経済学と福祉国家』(ミネルヴァ書房、2013年8月)を公刊した。『経済研究』(一橋大学)の小特集「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」(2014年4月刊行)も関連する研究成果である。Caldari・西沢で進めているマーシャルの未完の手稿 “Progress” に関わる共同論文が、 European Journal of the History of Economic Thought,に2014年2月に掲載された。また“Progress” を再構成する作業も Book I については、校閲注も含めてほぼ作業が完成した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に即して、2015年の国際コンファレンスの実施準備を進め、これまでの成果を刊行すべく作業を鋭意推進する。 研究協力者の Backhouse、Medema らと緊密に協力し、研究分担者となる後藤の協力を得て、国際コンファレンス「厚生経済学史の再検討:厚生観・福祉観の変遷-マーシャル、ラスキンからセンへ」を企画・実施する。厚生経済学・福祉の経済学の歴史における「非厚生主義的」・「非帰結主義的」要因を再構成するために鈴村興太郎、塩野谷祐一らの研究協力を得る。 現在進行中の“Liberalism and the Welfare State: from new liberalism to neo-liberalism” を完成するために、Backhouse, Bateman に加え、ネオ・リベラリズムの波及・浸透を専門的に研究している Dieter Plehwe らとの協力関係を強化する。 Caldari・西沢で進めている、マーシャルの“Progress”に関する未刊の手稿群の再構成を完成すべく、校訂注の作業を含め、共同作業を進めるため、西沢はイギリスでの調査、イタリアでの共同研究を鋭意進める。また、この作業に Dardi, Raffaelli の協力・助言を得る。 叢書「ケンブリッジの経済思想」の第1巻『ケンブリッジ学派とは何か』(西沢保・平井俊顕編著)について、出版社を決め刊行を具体化させる。マルクッゾ教授のアドヴァイスもあり、西沢・平井の協力関係をより緊密にし、2人の協力関係のもとにコンファレンスとその成果としての英文の本の構想を考える。さらに、研究協力者の平井は「ケインズと国際通貨体制の変革」に関わる共同研究を鋭意推進する。
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