研究課題/領域番号 |
25245032
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西沢 保 帝京大学, 経済学部, 教授 (10164550)
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研究分担者 |
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済学説 / 経済思想 / 経済史 / 西洋古典 / 国際情報交換(英・米・仏・伊・蘭) |
研究実績の概要 |
西沢と平井俊顕の共編著で出版予定の『ケンブリッジ学派の経済思想』(ミネルヴァ書房)の原稿執筆、研究会での調整など出版にむけて具体的な準備を行った。これは3部構成で、マーシャル、ピグーを中心とする第1部、ケインズ、カーンらの理論を中心とする第2部、ケンブリッジの哲学、ブルームズベリー・グループを中心とする第3部で、日本人の共同研究者による成果である。また、西沢が研究協力者のRoger Backhouse, Bradley Bateman, Dieter Plehweと共編著で進めてきたLiberalism and the Welfare State: Economists and Arguments for the Welfare Stateの構成をかなり修正し、リベラリズムと福祉国家の変容について、イギリス、ドイツ、日本の比較を柱にするものとして、Oxford University Pressからの出版予定にこぎつけた。 Katia Caldariと西沢は、マーシャルの “Progress” に関わる資料調査のため、ケンブリッジで作業を行った。また、西沢はドイツ、フランスでのコンファレンス、セミナー、後藤はアメリカでのコンファレンスに参加・報告し、厚生経済学史の再検討に関わる研究課題を進めた。 繰越に伴う国際ワークショップを翌9月5-7日に行った。第1部Historical reconstruction of economic thought of welfare、第2部The world economy and Keynes: past and presentで、第1部は、直前に開催されたHDCA conferenceでAntoinette Baujardが組織した厚生経済学の歴史的再検討に関わるセッションに連動していた。これらは、Backhouse, Baujard, Nishizawa共編で企画している本に結実するはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
西沢と平井俊顕の共編著で出版予定の『ケンブリッジ学派の経済思想』は、12章分の原稿(塩野谷祐一教授の遺稿を含む)を執筆・整理し、出版社に送るところまで進んだ。Backhouse, Bateman, Nishizawa, Plehweの共編著で進めてきたLiberalism and the Welfare Stateは、構成をかなり修正し、序章等を書き直して、Oxford University Pressからの出版予定にこぎつつけた。イギリス、ドイツ、日本の比較を柱にするもので、西沢・池田は日本についての章を執筆した。西沢は、厚生経済研究の関係で福田徳三についても複数の論稿(『福田徳三著作集』第10巻の「解題」を含む)を執筆した。 国際ワークショップは、関係者の都合で繰越となり、翌9月5-7日に行った。その第1部Historical reconstruction of economic thought of welfareは、直前に一橋大学で開催されたHDCA conferenceでBaujardが組織した厚生経済学の歴史的再検討に関わるセッションに連動するものであった。これらは、Backhouse, Baujard, Nishizawa共編著で企画している本に結実するはずである。 また、Caldari, Nishizawa は、マーシャルの未刊の手稿 “Progress” を再構成し校訂注を付す作業のため、8月にケンブリッジで共同作業を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
西沢と平井俊顕の共編著で出版準備を進めている『ケンブリッジ学派の経済思想』について、序章の執筆などの最終的な作業を進める。Backhouse, Bateman, Nishizawa, Plehweの共編著で進めてきたLiberalism and the Welfare Stateは、編者、レフェリーからのコメントを踏まえて改訂し、出版に向けて鋭意、作業を進展させる。他のコンファレンス等のために繰越で翌9月に行うことになった国際ワークショップ開催の準備をする。これに連動して、Backhouse, Medema, Baujard, 後藤、鈴村興太郎らの協力を得て、厚生経済学・福祉の経済学の歴史的再検討に関わる書物にまとめていく準備を進める。この出版企画をより具体的なものにするため、年度末に再度ワークショップを行い”Welfare theory, public action and ethical values: Re-evaluating the history of welfare economics”のような形でまとめるための準備を鋭意進める。 塩野谷教授の逝去に伴い、History of Economics Conference (Duke大学)でセッッションを組織することになり、その準備を行う。これは、厚生経済学における非功利主義的・非厚生主義的なパースペクティブの復権に関わるものになるはずである。
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