研究課題/領域番号 |
25245035
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
古澄 英男 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10261273)
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研究分担者 |
大森 裕浩 東京大学, 経済学研究科, 教授 (60251188)
照井 伸彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (50207495)
各務 和彦 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00456005)
宮脇 幸治 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (40550249)
石原 庸博 大阪大学, 金融保険センター, 講師 (60609072)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | ベイズ統計 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 高次元データ |
研究実績の概要 |
研究実施計画にもとづいて、今年度に必要なデータの収集と整理、説明変数の次元が大きい場合における変数選択法の開発、提案した計量モデル・手法に対するマルコフ連鎖モンテカルロ法の開発、実経済データへの応用などを中心に研究を行った。平成27年度における研究成果は以下の通りである。
1. 本研究において必要とされる高次元データを収集・整理した。また、これらデータを整理するためのプログラムの作成を行った。 2. 線形回帰モデルにおいて説明変数の数が多い場合を想定し、重要な説明変数を選択するための計量手法を開発した。本研究では、説明変数の必要性を示す2値潜在変数を利用したベイズ階層モデルを考えることによって、より簡便かつ効率的に変数選択を行うことができることを示した。また、変数選択問題に対する別の接近方法として、Lasso法などに代表される縮小型推定についても比較・検討した。さらに、ここでの方法を時系列モデルや分位点回帰モデルなどへ拡張を行った。 3. 2.で提案する計量手法を実行するための計算アルゴリズム、具体的にはマルコフ連鎖モンテカルロ法による推定方法の開発を行った。シミュレーション実験や実際のデータを用いた分析などから、本研究で提案する方法は、既存の方法よりも実行が簡便であり、またより正確に重要な変数を選択することができることが明らかとなった。また、本研究で提案するマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いることにより、既存の推定方法よりも効率的に推定することができることを示した。 4. 1.で用意したデータを用いて、株価データによるボラティリティの推定、消費者行動の分析、さらに空間データへの応用などいくつかの実証分析を行った。その結果、これまでの計量モデルによる分析では分からなかった新たな知見を得ることができた。これら研究成果の一部は海外雑誌に掲載され、また学会においても報告されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究の目的」には、7項目について研究を進めていくことが記載されている。そのうち、6項目が当該研究期間中に達成されており、また、残りの項目である次元の大きい共分散行列に対する新たな計量モデルの作成については現在進行中である。また研究成果については、海外雑誌・海外学会などに積極的に発表されている。以上のことから、「(2) おおむね順調に進展している」と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で提案する計量モデル・手法は非常に適用範囲が広く、有用であると考えられる。これらの有効性をさらに示すため、これまでに応用してきた分野以外で利用できないか検討を進めていく予定である。また、計量モデルに関する理論的研究が若干弱いと認識しており、この点については今後一層重点を置きながら研究を推進していく予定である。
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