研究課題/領域番号 |
25245038
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
櫻井 武司 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343769)
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研究分担者 |
有本 寛 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済分析グループ, 研究員 (20526470)
横山 繁樹 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (30425590)
高野 久紀 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40450548)
橘 永久 千葉大学, 法政経学部, 教授 (70301017)
木島 陽子 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (70401718)
高橋 和志 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済分析グループ, 研究員 (90450551)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 比較農業発達史 / 市場制度 / アフリカ / 米 / マダガスカル / ガーナ / ナイジェリア / シエラレオネ |
研究実績の概要 |
マダガスカルでは米流通の両端、つまり生産者側と流通業者(小売商)側の調査・研究を実施した。生産者については、首都アンタナナリボに隣接し首都への重要な米供給元の一つであるイタシ県、ブングラバ県で稲作農家の販売行動に関する調査を行った。農村部に様々な買い手が来るため、競争的な市場となっていることを明らかとした。一方、マダガスカル全体では米市場の空間的統合度が低いが、米を買い付ける商人が全国各地の米価格を知らないことが原因であると考えられる。そこで、調査対象としたアンタナナリボの商人から無作為に選んだ半数に米の価格情報を携帯電話を使って提供する介入実験を実施し、その後、価格情報がどのように利用されたかについて追跡調査を実施した。 ガーナでは内陸部のクマシとその周辺における調査から、市内では消費者・小売業者ともに地元産米を好まないことを把握し、地元産米が①品質が高い輸入米に対する下級財なのか、②その味覚(特に粘性)や有機食品のイメージから市場に一定のニッチを確保しているかを検証すべき課題であるとした。この課題の検証のために輸入米と同等に品質の高い地元産米の販売実験を計画したが、そのような地元産米を市場で入手することは困難である。そこで、精米機・石抜き機を確保し、自ら精米を行って地元産米から販売実験用の高品質米を生産することにした。 ナイジェリアでは、中央部のナサラワ州とベヌエ州において、加工処理業者(パーボイラー)、精米業者、流通業者を対象とした調査を実施し、JICAによる研修実施前の設備、技術、所得などベースライン情報を入手した。シエラレオネでは生産と流通にかかわる問題を把握するための予備調査を実施した。シエラレオネでは消費者の地元産米志向が高く、米作の問題点は生産性の向上にあることを把握した。 日本およびアジア(カンボジア、ベトナム)については文献整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象としたアフリカの4ヶ国(マダガスカル、ガーナ,ナイジェリア、シエラレオネ)でそれぞれ現地調査が順調に進展した。ただしガーナについては、カウンタパートの長期海外出張のために本調査の実施が遅れ、研究計画を変更して平成26年度に延長した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)サブサハラ・アフリカにおける現地調査:調査対象とするサブサハラ・アフリカの4カ国(マダガスカル、ガーナ、シエラレオネ、ナイジェリア)のうち、ナイジェリアでは精米業者によるコメの契約栽培がコメ生産者の生産技術とコメ流通に及ぼす影響を明らかにするための調査を行う(木島)。ガーナについては、平成25年度に計画を実施できず予算を繰越したので、平成26年度は平成25年度に実施できなかったコメ市場の調査を行う(橘)。マダガスカルの農家とコメ商人の取引関係の調査については、平成26年度にも引き続き調査を行う(横山)。マダガスカルのコメ市場における商人の行動分析(高野、高橋)は、平成25年度に収集したデータの分析を行う。シエラレオネについては平成26年度は文献情報の収集にとどめる。 (2)日本:米市場の歴史について引き続き文献レビューを行う(有本)。 (3)アジア諸国:アジア諸国については、カンボジアを訪問し、米市場における取引慣行等について聞き取りを行い、アフリカの米市場との比較をする(櫻井、高橋、高野)。
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