研究課題/領域番号 |
25245050
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松井 美樹 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (70173789)
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研究分担者 |
北中 英明 拓殖大学, 商学部, 教授 (20297089)
島田 智明 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40410229)
佐藤 修 東京経済大学, 経営学部, 教授 (50170725)
上田 泰 成蹊大学, 経済学部, 教授 (70201952)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サプライチェーン / 事業継続性 / 持続可能性 / 経営管理 / 品質マネジメント / リーン生産 |
研究概要 |
世界規模の環境問題への対応が迫られ、自然災害やテロといった危機が頻発する中、多くの企業が自らの事業を見直し、環境に優しく危機に強い真に持続可能な事業を再構築しようと模索している。本研究課題は、サプライチェーンの目指すべき中長期目的として持続可能性と事業継続性に焦点を当て、世界各国に立地する製造事業所のオペレーション特性に関するデータを収集して優れたオペレ ーションの構造的特質を明らかにしようとするものである。柔軟性と俊敏姓、社会性を併せ持つ高業績製造企業が備えるべき要件、 それらの間の相乗効果やトレードオフを把握し、高業績製造企業の構築に向けた道筋を明らかにすることが狙いである。 平成25年度は、製造企業経営の核となる要因(外部環境、組織、人的資源、改善活動、TQM、TPM、情報技術、JIT、SCM、技術開発、製品開発、製造戦略、文化、業績指標等)に関する文献をレビューし、環境経営や事業継続計画に先進的に取り組む製造企業数社に聞き取り調査を実施することから始め、他研究機関等での本課題に関する研究動向にも留意し、真に持続可能な生産シテムのための新たな分析枠組みを構築した。この分析枠組みに基いて、国際会議や国際学会の年次大会等の機会に各国の連携研究者と会合を持ち、過去の調査で用いた測定尺度の妥当性と信頼性に関する分析結果を持ち寄り、本調査に盛り込むべき新たな領域を確認し、その測定方法を検討し、最終的に英語版およびそれを翻訳した日本語版の質問票に纏め上げた。この日本語版質問票を用いて、機械、電気機器、自動車関係の高業績製造企業および無作為抽出した製造事業所に対し調査協力を依頼した。また、国内外で開催された研究集会に参加し、生産マネジメントの先端的研究について情報収集するとともに、本課題の研究提案についても報告し、参加者と意見交換を通じて有益な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製造企業経営の核心となる要因に関する文献レビューや先進的取り組みに関する事例調査を踏まえて、真に持続可能な生産シテムのための新たな分析枠組みを構築するとともに、過去の調査で得られた測定尺度の妥当性と信頼性を踏まえて、本調査に盛り込むべき領域を確認し、その測定方法を検討して、英語版および日本語版の質問票を完成させることができた。現在、日本語版質問票を用いて、機械、電気機器、自動車関係の製造企業を対象にデータ収集を行っている。また、国内外で開催された学会や国際会議に積極的に参加し、生産マネジメントの先端的研究に触れるととともに、本研究課題についても研究報告を実施し、有益なコメントを得ることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、現在実施中の製造企業からのデータ収集を継続し、最低でも30事業所程度の協力を得て、工場見学等も実施する。データ収集の後、逆尺度を順尺度に変換したり、入力データのクリーニング作業を行った後、個人レベルのデータベースを用いて測定尺度の信頼性と妥当性を検証し、それを事業所レベルのデータベースに集約する。また、組織、人的資源、改善活動、品質マネジメント、TPM、情報技術と生産情報システム、JIT生産、制約の理論、SCM、技術開発、製品開発、製造戦略といったオペレーションズ・マネジメント領域に対応するスーパー尺度も構築する必要がある。これらを用いて我が国製造事業所に関する実証分析を本格的に実施する。因果を分析する統計手法(回帰分析、パス解析、SEMなど)を駆使して、わが国製造事業所の競争パフォーマンスの決定要因、様々な実践活動やサブ生産システムの間の連関構造を明らかにする。 平成27年度以降は、他の工業国における調査データを受け入れ、国際比較研究を行い、高業績製造企業構築のための異なる道筋を確認する作業を行っていく。
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