研究課題/領域番号 |
25245062
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
生島 浩 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80333996)
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研究分担者 |
岡本 英生 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (30508669)
水藤 昌彦 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (40610407)
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (50440194)
辰野 文理 国士舘大学, 法学部, 教授 (60285749)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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キーワード | 社会福祉関係 / 触法発達障害者 / 地域生活支援 / 更生保護 / 司法福祉 / プロジェクト評価 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,近年急速に国の施策が進展している 「発達障害(知的障害を含む) の関わる非行・犯罪への立ち直り支援に対するプロジェクト」に関する政策評価をテーマとし,今後の実践上の課題を明示するための実践・調査・分析を行った。 第1に,研究代表者及び各研究分担者が2か所以上の地域定着支援センターの協力を得て,利用者及び支援者双方から聴き取り調査を全国規模で行った。 第2に,このプロジェクトに携わる矯正施設(喜連川社会復帰促進センター)・保護観察所(前橋)・地域生活定着支援センター(群馬県及び福島県)・重度知的障害者福祉施設(国立のぞみの園)などの協力を得て,刑務所を仮釈放で出所した触法知的障害者の支援を行い,実践研究を試みた。 第3に,福島保護観察所,福島刑務所が主催する窃盗防止プログラムの開発に関わる研究会に指導する大学院生とともに参画した。そこで開発したプログラムを「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」が主催する研修会においてデモンストレーションし,その有用性などについて,研修会参加者にアンケート調査を実施した。 先進地域の実地調査は,研究代表者及び水籐,小長井分担研究者がオーストラリア・シドニー(8/23-8/30),研究代表者が米国・ボストン市(平成27年3/22-3/25)を実施し,研究成果については,日本犯罪心理学会(9/6~9/7,東京),日本更生保護学会(12/6~12/7,京都),さらには,国際思春期青年期精神医学心理学会(ニューヨーク,2015.3/26~3/29)に出席し,発表・最新の知見の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に,地域定着支援センターの協力を得て,立ち直り支援プロジェクトの利用者及び支援者への聴き取り調査をおおむね計画どおり実施できた。 第2に,このプロジェクトに携わる矯正施設(喜連川社会復帰促進センター)・保護観察所(前橋)・地域生活定着支援センター(群馬県及び福島県)・重度知的障害者福祉施設(国立のぞみの園)などの協力を得て,刑務所を仮釈放で出所した触法知的障害者の支援を行い,実践研究を継続中である。調査内容は,支援者の具体的働きかけ,支援対象者の再犯を含めた社会適応状況となるため,信頼関係をもとにした秘密の保持に十分配慮したインタビュー調査である。 第3に,福島保護観察所,福島刑務所が主催する窃盗防止プログラムの開発に関わる研究会に指導する大学院生とともに参画し,そこで開発したプログラムを「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」が主催する研修会においてデモンストレーションした。その有用性などについて,研修会参加者にアンケート調査も実施できた。 先進地域の実地調査は,オーストラリア・シドニー(8月23日~30日)及び米国・ボストン市(平成27年3月22日~25日)を実施し,研究成果については,アジア犯罪学会会(6/27~6/29,東京),日本更生保護学会(12/6~12/7,京都),さらには,国際思春期青年期精神医学心理学会(ニューヨーク,2015.3/26~3/29)に出席し,それぞれ発表を行った。また,研究代表者の生島及び研究分担者の辰野国士舘大学教授が編集責任者となり,研究グループが参画して,「よくわかる更生保護」(ミネルヴァ書房刊)の発刊を準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトに携わる矯正施設(喜連川社会復帰促進センター)・保護観察所(前橋)・地域生活定着支援センター(群馬県及び福島県)・重度知的障害者福祉施設(国立のぞみの園)などの協力を得て,刑務所を仮釈放で出所した触法知的障害者の支援を継続し,実践研究をまとめる。 知的障害のある犯罪者の罪種で最も多い窃盗について,犯罪防止プログラムを開発し,福島保護観察所,福島刑務所と連携協定を締結,組織的な本格実施に移行する。さらに,刑務所からの仮釈放者を受け入れる国立の更生保護施設において試行し,その実施及び効果測定を担うこととしている。 平成27年7月には,アメリカ・ロサンゼルスで開催される「第2回世界保護観察会議」に研究代表者と分担者の小長井立教大学教授が出席し,犯罪への社会内処遇に関する最新の知見を収集し,日本の更生保護におけるシステムズ・アプローチの展開について報告する予定である。 さらに,平成26年度に先進地域の実地調査を行った, オーストラリアの地域司法プログラムの責任者を招聘し,科研費研究グループの研究成果をもとに,「触法障害者の地域生活支援;プロジェクト評価と実践課題」と題するシンポジウムを平成27年11月に開催する予定である。合わせて,保護観察官や社会復帰調整官等更生保護実務者との日豪の事例検討会を法務省保護局の後援により実施を計画している。 研究成果については,これらの日豪の研究者・実務者による報告会・研究会のほかに,日本司法福祉学会(8/8~8/9,東京),日本犯罪心理学会(9/26~9/27,仙台),日本家族研究・家族療法学会(9/4~9/6,東京),日本犯罪社会学会(11/21~11/22,横浜)の各大会に役員として参画し,発表も予定している。
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