研究課題/領域番号 |
25245077
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉本 圭一 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30249924)
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研究分担者 |
稲永 由紀 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 講師 (80315027)
塚原 修一 関西国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00155334)
亀野 淳 北海道大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50333646)
酒井 佳世 久留米大学, その他部局等, 講師 (80631283)
木村 拓也 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40452304)
志田 秀史 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (40735114)
三好 登 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (40735164)
椿 明美 札幌国際大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00320581)
江藤 智佐子 久留米大学, 文学部, 准教授 (30390305)
藤墳 智一 宮崎大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30248637)
村澤 昌崇 広島大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00284224)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 第三段階教育 / 機能的分化 / 質保証 / 職業教育 / 学位・資格枠組み / 卒業生調査 / 高等教育システム / ステークホルダー |
研究実績の概要 |
[G1:卒業生]本年度は全体データと各校データの比較検討を行いながらカリキュラムや教育改善にまで踏み込んだ検討をIR研究会として計9回開催した。これらの研究成果としては、学修成果においては学術プロファイルと職業プロファイルの位置づけ方、職業でのニーズとレリバンスに関するアプローチとしてのコンピテンシーニーズの把握、そして第三段階教育セクター内での機能的分化を明らかにした。得られた知見をもとに『大学教育における職業統合的学習の社会的効用―IR枠組みによる「大学の学習成果と卒業生のキャリア形成に関する調査」報告書-』を2016年2月に刊行した。 [G2:カリキュラム班]本年度は、カリキュラムの類型的考察や学校種間代替の動向分析のためのEQ教育訓練分野分類の開発を行った。第三段階教育機関への訪問調査によるケーススタディからは、職業分野による機関内外のステークホルダー間の力学の違いや、それらが職業教育の実践的性格の差異として反映することが明らかになった。得られた知見をもとに、『第三段階教育における職業教育のケーススタディ』を2016年1月に刊行した。また、カリキュラムと職業統合学習に関する国内外の先行研究と事例調査を実施した。特に、カリキュラム・ポリシー、ディプロ・ポリシーの収集を中心に行った。 [G5:制度・政策班]本年度は、英国およびアジア6ヶ国において国家を超えた地域別参照枠組みの展開を調査し、各国のNQFとの調整課題が明らかになった。国際セミナーを実施し、アジアとドイツ・オーストラリアと比較対象として検討した。特にNQFは、東アジアの学歴主義的な制度背景の中での職業教育訓練の適切な位置づけ方を各国が探索してNQFアプローチが使われており、社会的パートナーとの連携によって産業別コンピテンシーニーズを把握するための機関・組織が編成され重要な役割を果たしていることが解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[G1:卒業生班]では、適切に大卒データ整備を進めるとともに、学会等での発表を行い、協働IRとして、参加大学の分析担当者だけではなく、教育課程編成に関わる関係者を集め、大学のポリシーやカリキュラムにまで踏み込んだ教育改善を模索するIR研究会を各大学において計9回開催し、協働IRの実質化を達成するとともに、その研究成果を報告書として刊行することができた。専門学校データについても、調査参加機関による協働IR分析を進めることができた。 [G2:カリキュラム班]では、予定通りに国内外の第三段階教育機関への訪問調査等を実施し、特に統計分析や非大学型セクターに関するケーススタディをもとにして、固有の教育訓練分野分類(EQ分類)を開発し、分野による教育目標の設定の焦点化の違いなどを明らかにすることができた。これらの得られた知見をもとに報告書を刊行することができた。また、職業実践専門課程に関するデータを体系的に収集整備することができ、次年度以降の分析計画が明確になった。 [G5:制度・政策班]では、本研究組織メンバーを中心として、文部科学省委託事業を九州大学が委託し、共通の課題探究をすすめることができた。海外調査として、英国およびアジア6ヶ国(韓国、中国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド)におけるNQF開発の調査を行い、特に産業セクターの関わりが明らかになり、また国家を超えた地域別参照枠組みの展開が把握できた。 [G4:ステークホルダー班]への情報提供と共有を進めることができ、関係の報告書を本研究組織メンバーを中心に取りまとめている。これらについては当初の計画以上の成果を得たものである。 なお、[G2:教員調査班]では、調査票の検討を進める段階で、大学の地域交流機能に着目した教員の職能についての調査研究も踏まえて枠組みを拡大しながら、次年度以後の調査実施の準備を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
[G1:卒業生調査]大学IR、専門学校IRを中心に、より各機関分析に焦点を当てた報告書を逐次刊行するとともに、IRを発展させた研究と実践を探究し、普及するためのFD講演会等の活動を実施する予定である。 [G2:カリキュラム班]昨年度に継続して、カリキュラムと職業統合的学習に焦点をあてたカリキュラムマップ、カリキュラムツリーの学校種、分野ごとのケーススタディを実施するとともに、大学の職業実践力育成プログラムと専門学校の職業実践専門課程についてのデータを体系的に整備し、比較考察を行う。 [G3:教職員班]カリキュラム特性を考慮した機能的分化に応じた教員の特性を解明するために、九州大学「高等教育と学位資格研究会」(EQ研)による非大学型教員調査との十分な比較可能性を担保しながら、大学セクターにおける先行教員調査として、広島大学高等教育開発研究センターによる大学教員調査(CAP調査)、国立学校財務センターによる大学地域交流調査(UC研調査)の枠組みを参照し、それらと比較可能な大学教員調査を企画実施する。 [G4:学外ステークホルダー班]企業・施設、事業所、行政、経済団体・職能団体、高校関係等広く第三段階教育に関わる外部ステークホルダーの関与の次元、領域、形態など総合的に検討し理論的なモデルを検討する。またそうした検討を踏まえて、外部ステークホルダー調査の企画をする。 [G5:制度・政策班] アジア・太平洋地域において急速に進展する各国の学位・資格枠組み(NQF)ならび第三段階教育における職業教育の制度・政策について調査・分析を行うとともに、日本における第三段階教育政策を分析する。また、第三段階教育に関わる既存の統計データおよびデータベースとして対象可能な統計データを収拾し、第三段階教育の構造と機能に関する総合的な分析を行う。
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備考 |
九州大学第三段階研究センターは、2014年に先導的学術拠点として設置され、研究代表者吉本がセンター長を務め、第三段階教育各セクターの教育プログラム革新動向、質保証制度政策展開についての、政策科学的な探究を目的とする。九州大学「高等教育と学位・資格研究会」は、高等教育と学位・職業資格の枠組み等の実証研究のための、教育社会学・高等教育分野等の研究者、現場の教職員・関係者による学術研究ネットワーク。
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