研究課題
合成ポリマーのみならず天然ポリマーをドーピングした前駆体を用いることで、形態保持された炭素化物およびグラファイトが調製できることを見出した。1.不斉液晶を溶媒とする電解重合により、スパイラル形態を有するヘリカルポリエチレンジオキシチオフェンを合成し、電気化学的酸化ドーピングを行い、形態保持炭素化・グラファイト化を実施した。また、同ポリマーに対して、スルフォン酸によるプロトンドーピングを行うと、高温加熱に伴う脱水反応が促進され、形態保持炭素化が進むことが明らかとなった。2.共役系ポリマーに三重結合部位を加えることで炭素化収率を向上させた。二つの複素環を三重結合からなるジアセチレン骨格で連結した化合物を合成し、電解重合により複素環ポリマーを合成した。これらのポリマーに対して、電気化学的ドーピングを施した後、高温熱処理による炭素化を行った。その結果、ジアセチレン部位を持たない複素環ポリマーに比べて、炭素化収率および形態保持の度合いも大幅に向上することが明らかとなった。3.天然ポリマーであるアミロースは、α-グルコース分子が重合したもので、水素結合によるらせん状チューブ構造をとっている。ヨウ素はアミロースのチューブの中に包摂されると電荷移動錯体が形成され、そのためヨウ素デンプン反応を示す。この電荷移動錯体は、アミロースの炭素化において形態保持と炭素化収率の向上をもたらすことを見出した。4.一方、同じ天然ポリマーであるセルロースはβ-グルコースが重合したもので、ヨウ素と電荷移動錯体を形成しないため、セルロースではヨウ素添加による形態保持炭素化は不可能であるとされていた。しかし、ヨウ素の代わりに、スルホン酸によるドーピングを行った後に炭素化を行うと、スルホン酸による脱水効果により、形態保持炭素化およびグラファイト化が実現できることを見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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