研究課題/領域番号 |
25246003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 精治 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70163409)
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研究分担者 |
河野 日出夫 高知工科大学, 工学部, 教授 (00273574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノギャップ / 環境制御TEM / 固体触媒 / その場観察 |
研究実績の概要 |
ナノメーターサイズの空隙(ナノギャップ)に気体雰囲気下で電圧を印加するとセンサーやメモリーへの応用が期待できる新現象が最近相次いで報告されている。本研究の目的は、同種および異種物質間のナノギャップを対象として、環境制御・透過電子顕微鏡(ETEM)法により気体雰囲気下でその両端に電圧を印加した状態で表面構造と電気的特性の解析を行い、気体雰囲気下のナノギャップの学理の構築を目指すことである。 同種物質間のナノギャップの典型例である金のナノギャップの作成方法を最初に確立した。この際に金表面に不純物が付着することがあり、その除去の方法も併せて確立した。引き続き、この金ナノギャップを試料として、ETEM法によるナノギャップの最適な観察条件(電子の加速電圧、電子線強度、電子線量、電子銃にモノクロメーターを装備したときの結像条件、電気測定と同時に観察可能な試料の安定性)および適切なナノギャップの電気測定条件(印加電圧、電流レンジ)を見いだした。さらに、ピエゾ駆動ナノギャップ電気特性測定試料ホルダーのETEM内での最適な動作条件も見いだした。 以上の技術的準備によって、各種雰囲気下でナノギャップ両端の金表面の構造を原子スケールで観察することに成功した。雰囲気としては、空気、H2、N2、O2であり気体の分圧は100Pa程度とした。観察の結果、従来予期されていなかった金表面における原子スケールので動的な構造変化が生じていることを見いだした。さらに、この構造変化とナノギャップの電気的特性には明らかな相関があり、この新しい現象の機構の解明のために、系統的な観察および測定を進めている。ETEM観察中の電子線照射の効果も考慮している。さらに、ETEM法によって観察が可能な異種物質間のナノギャップの作成も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の本質的な部分についてはおおむね当初の計画通りに進展している。すなわち、研究実績の概要にも記述したが、典型的な同種物質間のナノギャップである金ナノギャップについて、その両端に印加する電圧を変化させて、さらに、各種雰囲気下で金表面の構造を原子スケールで観察することに成功した。さらに当初の想定を超える新規現象も見いだされた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の通り、異種物質間のナノギャップについての実験を進める。また、見いだした新規現象については、その機構の解明を進める。さらに電子エネルギー損失分光と電子線ホログラフィーによる気体雰囲気下でナノギャップの特性評価を行う予定である。
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