研究課題
重い正孔からの高効率変換を目指し、(110)GaAs量子井戸での量子状態転写を実証するため時間分解カー回転測定を行い、(110)GaAs量子井戸の電子スピン緩和時間とg因子などを算出した。量子状態転写の実証には至っていないが、重い正孔のゼーマン分裂状態を区別して励起するため、回折格子を導入して励起光の狭帯域化を図るなど、(110)GaAs量子井戸における量子状態転写条件の抽出が完了した。量子輸送の研究例が少ない(110)量子井戸上に量子ドットを作製するためのプロセス技術の確立もほぼ完了した。また光子を効率よく量子ドットへ照射するために量子ドット上にブルズアイ構造を取り付けた素子の透過率のシミュレーションを行い、透過率が50倍程度増大することが分かった。これは光子―電子スピン変換の研究を加速する上で重要な結果である。光スピン検出の正確性について、新しい知見を得た。電子スピンの検出に2重量子ドットのスピン閉塞を利用するが、その緩和が光子-スピン変換検出の測定の精度を下げるため、スピン判定の原理となるスピン閉塞の緩和の要因の解明を行った。これにより正確に光生成電子スピンを検出する指針を得ることができた。その他、新しい光生成単一電子スピン検出法として、エッジ状態によるスピンフィルター効果と軌道依存トンネルを組み合わせたスピン3値読み出し法を提案、実証した。光生成電子スピンやスピン相関の検出への応用が期待される。もつれ変換については、偏光もつれ光子対を光源として、一方の光子で量子ドット中に生成した単一電子を単一電子電荷計で、他方の光子を単一光子検出器で計測することにより、両者の同時性を確認した。検出された単一電子のうち10-12%が単一光子と同時検出であること、その確率はもつれ光子対の生成確率と同程度であることを確認した。この成果は、光-スピン間のもつれ変換のための重要な結果である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 15件、 招待講演 7件) 備考 (2件)
Journal of the Physical Society of Japa
巻: 86 ページ: 011008-1-10
10.7566/JPSJ.86.011008
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 56 ページ: 04CK04 1-5
Physical Review Letters
巻: 117 ページ: 236802-1-5
10.1103/PhysRevLett.117.236802
巻: 117 ページ: 206802-1-5
10.1103/PhysRevLett.117.206802
応用物理
巻: 85 ページ: 769-775
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/qse/
http://www.meso.t.u-tokyo.ac.jp/