研究課題/領域番号 |
25246013
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
名嘉 節 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主席研究員 (30344089)
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研究分担者 |
田口 実 中央大学, 理工学部, 助教 (00455859)
橋新 剛 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20336184)
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 教授 (40213524)
高見 誠一 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40311550)
中根 茂行 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (40354302)
冨樫 貴成 山形大学, 理学部, 助教 (80510122)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 熱水噴出孔 / 超臨界水熱場 / 無機ナノ結晶 / 表面修飾 / 衝突反応 |
研究実績の概要 |
超臨界および亜臨界水熱場中では、表出する結晶面やサイズをコントロールした酸化物ナノ結晶を合成することができる。本研究課題では、この合成法を発展させたナノ結晶合成の連続的なプロセスとして、「海底熱水噴出孔」近傍の反応・晶出機構を再現・応用した新しい水熱合成法の確立に取り組む。今年度の実績は以下のようである。1)金属イオンの価数に対応して結晶相が変化するコバルト酸化物に関して、無機結晶相(価数状態)の制御法を既存のワンショット 型合成技術を用いて開発した。コバルト酸化物における価数(結晶相)転移は通常では摂氏900度以上で生じるが、超・亜臨界水熱場でははるか低温の摂氏400度以下で生じることを見出した。また、微量の表面修飾剤(有機物)の添加により結晶相を制御(単相化)できる技術を確立した。2) 強力な遊星ボールミルを用いた局所的な高温・高圧状態(メカノナノホットスポット)を瞬間的に発生させる多段衝突反応場で、イルメナイト(チタンと鉄を含む鉱物)の高温高圧で安定な結晶相を常温・常圧で準安定相として取り出すことに成功した。3)海底熱水噴出孔型の超臨界水熱反応装置の開発を見据えて高機能高圧反応容器の開発に取り組み、大容量(30立方センチメートル)の反応容器(プロトタイプ)を試作した。同容器で水の臨界点である高温(摂氏374度)高圧(22メガパスカル)に近い亜臨界状態が局所的に実現することを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は以下の3つのサブテーマ1)one-shot型合成法による準安定状態の無機ナノ結晶抽出 2)多段衝突反応場でのナノ結晶合成とその反応性 3)高機能高圧反応容器の開発に関して研究を行った。新しく見出した複合ナノ結晶合成法をサブテーマ1)に応用できることが期待されたために、その確認のため若干の遅れが生じた。2)に関しては、SPring-8の高精度粉末試料用エックス線回折装置を使用することができたために当初の計画以上に進展し、高温高圧安定の無機結晶相を常温常圧にクエンチできたという画期的な成果を達成した。高圧容器の開発も当初の計画以上に進行しており、次年度に導入が予定されている「熱水噴出孔型反応装置」の中心部となる高体積反応容器の開発が達成された。したがって、全体として上記達成度区分と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に大きな変更は無く、以下のサブテーマ1)one-shot型合成法による準安定状態の無機ナノ結晶抽出 2)「海底熱水噴出孔」型のナノ結晶合成装置の開発に取り組む。研究を遂行する上での問題点は無い。
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