研究課題
熱水中の微結晶の合成法を発展させて連続的な合成プロセスとして「海底熱水噴出孔」での結晶成長機構を応用した新しい熱水合成法を開発し、工業材料として高い機能を期待されるセリアやチタニアなどの金属酸化物微結晶の合成を行った。昨年度までに、(A)開発した海底熱水噴出孔型反応装置では長時間の反応実験が可能になり、有機物存在化の熱水中で複雑な無機微細構造を作製することに成功した。(B)積層膜合成機構を用いてシリコン基板上にセリアを成長させることに成功し、結晶配向制御が可能であることを見出してきた。今年度の実績は上記(A)-(B)を踏まえた発展的な研究を遂行した結果、実績は以下(1)-(2)のようになった。(1)連続的な水熱反応により得られた表面修飾したナノ結晶を含む原料を用いて発泡性の「多孔質材料」を合成することに成功した。(2)熱水中に有機分子が存在するか否かでセリアの結晶成長が大きく変調を受け、成長形が通常の相互貫入した多面体構造から樹枝(デンドライト)結晶に変化することを見出した。この樹枝結晶は数ミリ大の平板上に稠密に群生する樹林のように成長しており、特筆すべきは、当初予想されたようなセリアナノ結晶が高次構造体として自己組織化によって形成されたものではなく、かなり大きな樹枝状形態を有する単結晶として成長していることである。 一方、2013-2014年度に遊星ボールミルを用いて局所的な高温高圧(メカノナノスポット)状態を発生させる多段衝突場で、イルメナイト(FeTiO3)の高圧相の常温常圧下へのクエンチに成功したことを報告した。今年度は上記と比較して3倍近く高速の遊星ボールミルを用いて再びイルメナイトを局所的な高温高圧場で処理する研究を行った。予想に反して高圧相はクエンチされず、結晶構造はイルメナイトを保持しつつ電子状態が大きく変調された状態が実現していることが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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