研究課題/領域番号 |
25246016
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西澤 松彦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20273592)
|
研究分担者 |
鳥光 慶一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00393728)
長峯 邦明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00551540)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ハイドロゲル / 電極 |
研究概要 |
コラーゲン、アガロース(寒天)、グルコマンナン(蒟蒻)などのハイドロゲルの表面に導電性高分子PEDOTが配線された「導電性高分子ゲル電極」の作製プロセスを確立し、電極特性の改良を進めながら、その低侵襲性を活かして培養細胞への通電デバイスの開発を行った。PEDOT電極の表面抵抗率は数50Ω/sq 程度であり、これでも多くの応用が可能であった。例えば、培養した筋肉細胞の電気刺激による収縮誘導などには十分な性能であった。しかし今回は、さらに抵抗値を下げるため電極作製プロセスの大幅な改良を行った。例えば、予めPt電極上に高密度のPEDOTを析出させておいたり、Au電極の蒸着やカーボン微粒子の泳動電着をしておき、その後にゲルシートを貼付、その後PEDOT の電解重合を行うことによって、PEDOTを接着剤とする電極作製を可能とした。Au電極をパターニングしたゲル電極を用いて、付着状態の細胞への電圧パルス印加とそれによる薬剤導入の実験(エレクトロポレーション)を行い、細胞を損傷することなく小分子薬剤のモデルとしてPIの導入が行えた。蛍光タンパク質GFPの遺伝子ベクターの導入にも成功した。発現効率は現時点では未だ低いが、これは細胞近傍のベクターの絶対量が足りなかったためである。効果的なベクター供給法を検討中である。また一方で、伸縮性を有する電極材料の利用によってハイドロゲルの体積変化などにも追従する安定な電極を得る取り組みも行い、PEDOTをポリウレタンと複合化する方法が有効であるとの見通しを得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
あらゆる電極材料がハイドロゲルに固定可能となったため、応用研究の可能性が格段に拡がった。具体的には、金属電極による高電圧パルスの発生や、柔軟な導電性ゴムの利用によるウェアラブル電極の開発画可能となった。これらは、当初想定していたゲル電極の意義を拡充するものであり、当初目的を超えて達成された。
|
今後の研究の推進方策 |
筋肉細胞や皮膚細胞への電気刺激など、ゲル電極の特徴を活かす細胞系実験を進め、電極開発の意義を具体的に示していく。エレクトロポレーション用電極に関しては、市販化に向けた電極デザインの最適化を進める。
|