研究課題/領域番号 |
25246029
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
永津 雅章 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (20155948)
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研究分担者 |
作道 章一 琉球大学, 医学部, 准教授 (10397672)
猪川 洋 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (50393757)
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プラズマ科学 / 表面・界面物性 / ウィルス / バイオテクノロジー |
研究概要 |
本研究では、プラズマ応用研究の新展開として、バイオ・医療分野の研究者と連携し、現在問題となっている新型インフルエンザウイルスの高選択・迅速検出システムの開発を目指している。平成25年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)マスクレス微細表面修飾を実現するための大気圧プラズマジェット源の開発(第1ステップ):ナノ微細化したプラズマジェットビームとポリマー基板との表面相互作用について、アルゴンプラズマ前処理における基板バイアスの効果を定量的に調べ、後処理におけるアンモニアガスプラズマによるアミノ基修飾、アルゴンガスに酸素あるいは水蒸気を添加した場合のカルボキシ基修飾が可能であることを実証した。 (2)ウイルスの特定タンパク質に選択的に結合する糖鎖、抗体の固定化(第2ステップ):アミノ基修飾したカーボンナノチューブアレイ基板上にウイルス抗体を模擬した蛍光色素を固定化し、数秒での短時間でのミクロンオーダーの空間制御表面修飾が可能であることを実験的に確認した。 (3)ウイルスを用いた捕集効率および吸着選択性に関する研究(第3ステップ):抗体を固定化した磁気微粒子を用いたウイルス回収に関する予備実験を実施し、ウイルス濃縮率の顕著な増加に確認した。ビオチン-アビジン反応を用いたウイルス選択結合に関する模擬実験を実施し、アビジン標識化した磁気微粒子によるアビジン吸着を確認した。 (4)高感度ウイルス検出のためのセンシング技術の開発(第4ステップ):捕集したウイルスの蛍光判別により、ウイルスの検出、同定を行う方法の開発を目指し、実験では、アミノ基修飾したナノ蛍光体表面に、ウイルス検出用リガンドの固定化および蛍光特性に関する研究を実施した。 上記研究で得られた成果は、国内外で評価の高い学術論文に15編、国際会議に13件、国内学会に29件発表を行った。このうち招待講演は国際会議2件、国内学会6件である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究業績として、研究代表者による学術論文発表6編、分担研究者3名による成果合計9編に及ぶ。また、国際会議および国内学会の発表件数は42件であり、うち招待講演は8件である。当初の研究目標の一つである大気圧プラズマジェットによるカーボンナノチューブアレイの空間選択的表面修飾およびウイルス抗体を固定化したグラファイト被覆磁性体微粒子の実験においてウイルスの高濃度回収に成功しており、当初の目標を概ね達成していると判断し、上記の区分の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降では、前記の実験項目(1)~(4)の実験継続分に加え、(5)捕集したウイルスのワクチン利用の可能性 (第5ステップ) についても、検討および実験を行っていきたい。なお、26年度には、上記、第4ステップの実験を行うため、蛍光マイクロプレートリーダを、27年度には捕集したウイルスの増殖を行うためのリアルタイム定量PCR装置を導入する。 以上、研究計画の内容およびその方法を記述したが、技術開発に付随して得られた学術的成果は、国際的に評価の高いジャーナルへ発表するなど、バイオ-プラズマ融合科学の学問体系の構築、深い学理探求もあわせて進めていきたい。なお、26年度以降は実験の進捗状況を踏まえて、柔軟に研究計画の見直し、研究協力者の補強を図っていきたいと考えている。
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