研究課題/領域番号 |
25246031
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 崇人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90282095)
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研究分担者 |
戸田 雅也 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40509890)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱量センサ / 細胞 / 温度センサ / マイクロセンサ |
研究実績の概要 |
両もち構造をもつ振動型の熱量センサを作製、評価し、熱分解能とセンサのサイズなどの関係などを調べて高感度化のための設計指針を明らかにした。両もち構造のセンサは、熱応力が大きく働くため、感度が高いが、熱の逃げが大きいため熱設計が重要となる。Siからなる両もち梁構造は、単なる熱容量として働くだけでなく、熱が梁を通して反対側に逃げる構造となっており、熱の流れの時間変化を測定していることになる。つまり、ジュールからワット単位に測定次元を変化できる利点があり、このことを実験的に示した。また、VO(酸化バナジウム)を用いた新たな熱量センサを設計、試作した。VOは室温近傍で大きな抵抗変化を示す材料であり、これを利用した熱量センサは、高い感度を示すことが期待されたが、振動型に比べて感度は高くないことがわかった。前年度の調査でPN接合型の熱量センサにおいても、かなりの高感度化が期待できることがわかったので、振動型とPN接合型、および抵抗型の感度を測定、比較し、測定原理による感度の違いを比較した。熱設計により、感度が大きく変わるため、単純には比較できないが、振動型で良い結果が得られている。試作したセンサに実際に細胞を流して、その熱量計測を試みた。褐色脂肪細胞における熱計測にて、パルス状の熱発生を確認し、その詳細な測定を試みた。一方、振動型熱量センサの低ノイズ化のために、ピエゾ抵抗を利用した熱エンジンを考案、設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、熱量センサの高感度化の設計指針を明らかにし、実際にセンサを試作評価して、細胞の熱量計測に応用した。原理の異なるセンサを3種類、設計試作したのは当初の計画にない進展であった。一方、細胞の熱量計測はまだ褐色脂肪細胞と酵母菌の2主であり、まだ、酵母菌の熱量計測には成功していない。全体としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
試作した振動型の熱量センサとPN接合型の熱量センサの両方の性能を比較し、問題点を抽出する。熱量センサの寸法の最適化を進め、より高感度なセンサを得るための設計論を確立する。これまで、PN接合型センサは、熱を熱導波路を経由して、液中の試料から真空中の試料に伝達する方式をとっていたが、センサを絶縁膜で保護し、液中に直接入れるタイプのセンサも試作、評価する。作製したセンサを用いて、各種の細胞の熱産生の検出を試みる。特に、これまでに特異なパルス状の熱産生が見られた褐色脂肪細胞において、計測を行い。細胞の熱産生現象の環境による影響や、外部刺激との関連などについて調べ、得られたデーターを解析することで、細胞の熱産生のメカニズムを考察する。また、得られたデーターに定量性を持たせるために、センサの更正方法について検討し、得られたデーターの確度の向上を目指す。本センサの性能に関して、将来的な見通しを得る。
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