研究実績の概要 |
平成27年度の研究は、以下の3項目について行った。 1.高強度Nb3Snモノリス導体のコイル試験および等価断面積8本ラザフォードケーブルコイル試験は、GM冷凍機冷却温調クライオスタットを用いて評価を行った結果として、CuNb/Nb3Snモノリス導体コイルε=0.42%, 0.76%コイル曲げ歪印加において15K温度と4T磁場でそれぞれコイルIc=97A, 68Aが得られた。これに比較して、CuNb/Nb3Snラザフォードケーブル導体コイルε=0.43%, 0.84%コイル曲げ歪印加において15K温度と4T磁場でそれぞれコイルIc=164A, 93Aが得られた。この結果は、React&Wind法CuNb/Nb3Snラザフォードケーブル導体がモノリス導体よりコイル曲げ歪が緩和されていることを示している。 2. 補正予算で進めている25T無冷媒超伝導マグネットは、14T発生の低温超伝導(LTS)コイルのバックグランド磁場中で11T発生の高温超伝導(HTS)コイルで構成されている。このLTSコイル実証試験では、CuNb/Nb3Snラザフォードケーブルを用いて事前曲げ処理を利用したReact & Wind法14 T-LTSコイルは、25 T無冷媒超伝導マグネット用コイルとして十分な能力を持つことが分かった。世界で初めてのReact&Wind法CuNb/Nb3Snラザフォードケーブルコイルとして、300 mmのコールドボアに14.0 Tを発生する無冷媒超伝導マグネットを開発することに成功した。 3. RE123コイルのクエンチ特性と熱的安定性では、RE123コイルの保護指針として常伝導発生時の温度を高くすることが有効であるという知見を得た。これにより、RE123/LTS超伝導マグネットの保護方法として、RE123コイルの運転温度を高くする、またはLTSコイルのクエンチ直後に、ヒーターによってRE123コイルの温度を上昇させることが効果的であることが分った。
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