研究課題/領域番号 |
25246039
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大森 恒彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (80185389)
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研究分担者 |
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
高橋 徹 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (50253050)
鷲尾 方一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70158608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガンマ線 / 偏極粒子源 / 偏極陽電子源 / X線 / 国際リニアコライダー |
研究実績の概要 |
CWにて非常に増倍率の高い空洞の開発に着手した。これは順調に進み、非常に高い光共鳴蓄積空洞を用いて自発的な共鳴・発振の確認に成功した。19 万倍という非常な高増倍率にもかかわらず、自発共鳴・発振のため一切のフィードバック制御は不要であった。外乱にも大変強く、小さなハンマーで空洞を叩いた場合、その瞬間は発振が止まるが、すぐに数十ミリ病程度の後に、一切の操作なく、またアクティブな制御にも依らずに、自発的に発振が回復した。これらの確認により自発共鳴・発振というコンセプトの正しさを実証できた。
パルス化の研究も進めた。空洞の入った周回路でのパルス化の為では一周後に共振器部に入射するパルスが、空洞内部のパルスと重なり合うタイミングである必要がある。低い増倍率での実験の結果、当初の予想に反してパルス化は容易にはない事、光路一周とその中に入る空洞の長さの比が小さな方がパルス化が容易になる事が分かった。これは、この比が小さい方が一つのパルスのエネルギーが大きく、モードロックのために持ちいる非線形効果素子(半導体過飽和ミラーまたは非線形偏波回転素子)の働きが大きくなるからである。光路一周はあまり短くはできないので、小さな比を実現するために空洞を実用機よりも10倍程度長くしパルス化技術を習得する事にした。この長い空洞を用いてパルス化に成功した。半導体過飽和ミラーと非線形偏波回転の2つの効果を利用する研究を行なった結果、我々のシステムには非線形偏波回転の採用が適切である事が分かった。これらの過程で光路一周と空洞の長さの比を正確に実測する技術を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CWにて19 万倍という非常に高い増倍率の光共鳴蓄積空洞を用いて自発的な共鳴・発振の確認に成功した。自発共鳴・発振のため非常な高増倍率にもかかわらず一切のフィードバック制御は不要であった。これにより自発共鳴・発振というコンセプトの正しさを証明できた。
パルス化に関しては光路一周とその中に入る空洞の長さの比が小さな方がパルス化が容易になる事がを発見し、実用機よりも10倍程度長くした空洞を用いてパルス化に成功した。この過程で、光路一周と空洞の長さの比を実測するためのノウハウ、非線形偏波回転を利用してモードロックは芯を安定化させるノウハウなどを構築できた。
以上の2つにより本科研費の目標達成に不可欠な基礎を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
まず完成した CW の高増倍率空洞を用いて各種特性を測定し自発共鳴・発振のメカニズムの理解を進める。増倍率に関しては、CW での増倍率はすでに十分大きくなったので、今年度は CW での高出力化の研究に進む。高増倍率が達成されれば,自動的に高出力化が達成されるわけではない。高パワーに耐える部品の研究と、高出力化のために大口径のファイバーアンプを用いた増幅の研究を行う。
パルス化に関しては2つの課題にとり組む。一つは空洞長を実用機と同じ長さにまで短くする。もう一つはパルス発振での高増大率化である。
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