研究課題/領域番号 |
25246043
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
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研究分担者 |
加藤 準治 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00594087)
樫山 和男 中央大学, 理工学部, 教授 (10194721)
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
車谷 麻緒 茨城大学, 工学部, 准教授 (20552392)
浅井 光輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90411230)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 津波 / 破壊 / マルチスケール / 流体・構造連成 / 防災・減災 |
研究実績の概要 |
本年度は,防潮林による津波減衰効果を評価するためのマルチスケール数値実験,地域・都市スケールの津波の遡上解析を行った.具体的には,防潮林を周期的なミクロ構造を有する巨視的な構造体と考え,枝木のスケールであるミクロスケール,樹木のスケールであるメゾスケール,防潮林のスケールであるマクロスケールの3つのスケールに分け,寺田・加藤・浅井により構築した各スケールにおいてマルチスケール数値実験手法を用い,各スケールでの平均特性値を計算し,その値を上位スケールへと受け渡し,防潮林の津波に対する減衰効果の検証を行った.減衰効果の検証には,防潮林の後方に構造物を設置し,寺田・車谷によって構築した流体から固体への一方向連成解析手法を用い,構造物にかかる流体力を用いて構造解析を行い,応力値による構造物の倒壊判定を行った.この解析により,レベル1からレベル4へのボトムアップ型のマルチスケール解析が可能であることを確認した.また,津波伝搬(レベル5スケール)から沿岸部および陸域(レベル4スケール)を一体的に再現し解析を行うために,沖合での波の伝播には基礎方程式として2次元の浅水長波方程式を用い,遡上津波の基礎方程式には,3次元の Navier-Stokes方程式を用いて一連の津波遡上解析が可能となる2D-3Dハイブリット手法の構築を寺田・森口が行い,精度検証を行った.これらの提案する解析手法を用いた解析による検証が行えたことが本年度の主な成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各レベルでの理論構築,計算手法の開発や定式化が順調に進展したため,H26年度は,これらの手法を用いてマルチスケール数値実験による検証解析を行うことができたため,順調に研究が進められている.
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今後の研究の推進方策 |
【レベル1解析・レベル2解析】レベル1については,砂や礫混じりの局所的な流体領域をモデル化した数値粘度計について,H26年度に開発済みの固体・流体連成解析手法を用いて検証を行い,実用レベルまで精度を高める.レベル2についても,細長い木々や鉄骨などを浮遊物として,レベル1と同様の数値粘度計に関する検証を行う.これらはいずれも固体を剛体と見なして3次元流れとの連成解析となるが,均質化法に基づく数値材料試験の考え方を適用しており,今年度は巨視スケールの平均特性(平均密度,粘性,粗度,分散性など)の経時変化の評価が可能とする.
【レベル3解析】局所スケールの現象として,レベル1で算定した流体特性を有する遡上津波による木造および鉄筋コンクリート構造物など1棟ごとの流体力の算定および破壊解析を目的として構造・流体連成解析を行う.流体力を受ける際の応力計算や破壊判定につちえは構造物を変形体として扱うが,流体中に浮遊する破壊後の固体は剛体とみなして解析する.特に,H26年度の連成解析では,流体から固体への一方向連成しか考慮できなかったが,本年度は,有限被覆法を拡張した自由表面追跡手法を適用して,固体・流体の2方向強連成解析を可能とする.
【レベル4解析・レベル5解析】H26年度に開発した2D-3Dハイブリット流体解析手法も適用して,沖合の2次元的な津波伝搬(レベル5)から沿岸部および陸域(レベル4)における3次元的な流れを一体的に再現し,これをレベル3の流体・構造連成解析につなぎ,建物被害推定を試みる.GISのSHAPEファイルとCADデータを用いて(a)防潮堤と津波の個液複合領域,(b)防潮林と津波の個液複合領域,(c)街区の建物群と遡上津波の個液複合領域の3つの具体的な局所スケール解析領域を対象として数値実験を行う.
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