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2014 年度 実績報告書

次世代放射線シミュレーション基盤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25246044
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

佐々木 節  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (50259983)

研究分担者 村上 晃一  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 講師 (10353369)
藏重 久弥  神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20205181)
山下 智弘  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20567086)
大町 千尋  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20588967)
阿蘇 司  富山高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (30290737)
歳藤 利行  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30377965)
田中 覚  立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60251980)
木村 彰徳  足利工業大学, 工学部, 教授 (60373099)
尾崎 正伸  国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90300699)
研究期間 (年度) 2013-10-21 – 2017-03-31
キーワード放射線シミュレーション / GPGPU / 並列計算
研究実績の概要

水中における電子と光子による線量分布を求めることに機能を特化し、そのために必要な機能をGeant4から抽出し、GPUで計算するためにCUDA言語にて記述しなおした。この部分をMPEXSと命名することにした。 この開発は、SLAC国立研究所およびStanford大学との共同研究で行った。画像診断装置(CT)の標準出力形式であるDICOMとのインターフェース、および、リニアックによるがん治療のシミュレーションを行うために必要な機能を設計し、実装した。人体を構成する物質は密度の異なる水として扱う。水透過近似と呼ばれ、医学物理の分野では広く使われている。簡易化した疑似人体(ファントム)中に電子および光子を入射し、Geant4をCPUで実行した場合との比較を行った。ファントムの形状は30.5cm x 30.5cm x 30.0 cmの直方体とし、入射面から5cmまでは通常の水、5cmから20cmまでは、骨や肺と透過の密度の水、20cmから後ろは通常に水とした。100cm離れた点から20MeVの電子と6MVおよび18MVの光子をファントムへの入射面で直径10cmの円形に広がるように入射した場合の計算時間を計測した。3200万個の粒子をそれぞれ入射した。GPUは、NVIDIA K20c、比較の対象となるCPUはXeon E5-2463v2 3.50GHzの1コアである。その結果、どの場合においても、MPEXSをGPUで走らせた場合、Geant4をCPUの1コアで実行した場合よりも計算時間が200倍程度速かった。Geant4のマルチスレッド化も完成しており、同様のベンチマークソフトウエアをXeon Phiで実行するために必要な開発を並行して行った。開発が終了すれば、Xeon Phiとの計算時間の比較も行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

比較的現実的な条件におけるベンチマークを行い、期待以上の性能の向上を見ることができた。プログラミング言語間の機械翻訳に頼ることなく、人知による作業により、200倍程度の性能向上を図ることができ、さらなる性能の向上が期待される。Geant4をC++からCUDA言語に機械翻訳した試みも既に発表されているが、性能向上は数十倍程度にすぎない。それと比較すると、我々の試みのほうが大きく性能が優れている。

今後の研究の推進方策

GPUとXeon Phiとの性能の比較を行い、GPUの有効性について考察する予定である。MPEXSは、Geant4から必要最低限の機能を抜き出しており、Geant4との公正な性能の比較は困難ではあるが、機能を特化すれば、高並列化し有意義な程度に計算時間を短縮できることを示したい。また、Geant4-DNAと呼ばれる細胞レベルにおける放射線による物理・化学反応のシミュレーションを行うためのパッケージをCUDA言語で書き直し、GPU上で利用できるようにする。Geant4-DNAは、計算時間がかかることが問題とされており、GPUを利用することで計算時間の短縮を図ることができれば、様々な科学的成果を得るために大きな貢献が期待できる。Geant4-DNAは、細胞レベルにおける放射線の影響を定量的に知ることができるため、多くの研究者に注目されており、アプリケーション利用者とも議論しながら、研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] SLAC国立研究所/Stanford University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      SLAC国立研究所/Stanford University
  • [学会発表] Optimization of CUDA based Monte Carlo Simulator for Rdatiation Therapy2014

    • 著者名/発表者名
      Nick Henderson
    • 学会等名
      GPU Technology Conference 2014
    • 発表場所
      San Jose(米国)
    • 年月日
      2014-04-04 – 2014-04-07

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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