研究実績の概要 |
当該研究では特異点を許す枠組みで考える平均曲率流の、Brakke流について研究を進めることを中心課題としている。我々の示した基本的な結果としては、n+1次元ユークリッド空間内の任意に与えられたn次元修正可能閉集合を初期データとしたときの、Brakke流の時間大域的存在定理(Lami Kimとの共同研究 On the mean curvature flow of grain boundaries,Ann. de l'Institut Fourier, 2017)が挙げられる。この結果は一次元の場合の時間局所的存在でさえ知られていなかったものであり、一気に一般次元かつ時間大域的存在定理の問題を解決したことが特記すべき点である。その後、そこで示されたBrakke流の定性的研究の手始めとして、一般的にネットワークの形状となる一次元Brakke流について特に研究を進め、各点で存在する接流の分類を行うことができた。また境界条件をつけた存在定理についても検討を重ね、現在までに概ね技術的な点を解決し論文を準備中である。この存在定理を用い、特異点を持つ極小曲面に対する新しい概念である「局所動的安定性」の概念を導入することができ、今後の新しい研究方向として提示することを考えている。 研究成果の国際情報発信の一環として、若手研究者向けの以下のスクールで講義を担当し、その他多数の国際研究集会で発表を行った。 ・International School on Extrinsic Curvature Flows, ICTP at Trieste, Italy(6時間コース) ・Calculus of Variations and Nonlinear Partial Differential Equations, UC Berkeley, USA (4時間コース)
|