研究課題
基盤研究(A)
本研究は場所は地上望遠鏡に新しいアイデアに基づいた2視野同時観測システムを開発し、中間赤外線波長での時間変動測定システムを構築することで、10年以下のタイムスケールで起こる各種天体現象を観測的に研究することを目的としている。研究初年度にあたる平成26年度では、この2視野同時観測システムの開発を主として研究を実施した。結果、システムのうち最も複雑なピックアップミラーシステムや像合成鏡単体はほぼ完成させることができたが、焦点位置補正のための大型冷却容器上下動システムはアライメント調整に予想外の時間がかかって完全に完成させるには至らなかった。これは平成27年度の早い時期に完成できる見通しである。2視野同時観測システムの下部に接続する赤外線カメラ部分は順調に開発が進んでいる。さらに、既存の全天データを用いた変光天体の候補天体捜査や、チリアタカマに設置したminiTAO1m望遠鏡や国内中小口径望遠鏡による先駆的なモニタ観測も実施した。特に大質量星初期天体については近赤外線波長によるモニタ観測を3か月に渡って実施し、初期的な解析ながらいくつかの天体で有意な時間変動を新しく発見した。これについてはメーザーの時間変動も報告されており、その相関について詳しく調査を行う予定である。
3: やや遅れている
2視野同時観測システムでは1トン近い大型真空容器の上下動を実現する必要があり、これを2台のパワーシリンダーと2本のガイドによって実施するよう設計されている。この初期実験を業者で実施したところ、ガイド間にアライメントエラーが発生した。大きな重量物の調整作業が入るため作業の順番待ちなどが発生したため、再調整に予想外の時間がかかってしまい、システム全体のスケジュールを押す結果となってしまった。これに関しては再調整の手筈が整っており、平成27年度5月にはシステムを完成させられる見込みとなっている。なお、カメラ部の開発や、2視野同時観測システム完成までに先行的に行うフォローアップ天体などはほぼ順調に進んでいることを付記する。
今後も引き続き2視野同時観測システムの立ち上げを進める。機器開発上のトラブルによって予想以上に時間がかかってはいるものの、その対処にはめどがついており、これ以上の遅延は発生させず装置を完成させられる見込みである。装置は完成次第できるだけ早いタイミングで国立天文台ハワイ観測所に輸送の予定である。また、miniTAOなど既存望遠鏡・装置による先行的モニタ観測ではすでに新しい変光現象の兆候を捕まえており、今後も系統的な観測を継続させることにより、確定的な結果が得られるようにしたい。これによって2視野同時観測システムが完成次第すぐに科学的成果が出せるようになるものと考えている。
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Icarus
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10.1016/j.icarus.2014.01.019