研究課題
基盤研究(A)
宇宙マイクロ波背景放射のB-mode 偏光観測や遠方銀河の観測のために、ミリ波~サブミリ波の超伝導MKIDカメラの開発を進めた。平成25年度は、600画素 220 GHz MKIDカメラの試作に成功した。また、2000画素に向けて以下の要素技術の開発をすすめた。1つは、ミリ波2000画素カメラを望遠鏡と効率良く結合する広視野冷却光学系の設計である。0.1K希釈冷凍機に15cmのミリ波の窓をつけ、サファイアレンズとシリコンレンズを組合わせて、F#6からF#1への変換する。cold nested baffleやcold aperture stopによって、迷光(stray light)を抑える工夫をおこなった。その結果、MKID cameraを91 mKまで冷却することに成功した。2つ目の要素技術として、反射防止膜(anti-reflection coating: ARC)の開発に成功した。サファイアやシリコンは誘電率が大きいために、反射防止コーティングが必要となる。2種類のエポキシ材を混合して、その誘電率を制御し、厚みは機械加工で制御した (T. Nitta et a. 2013)。FTSをもちいて、透過率を測定して、シミュレーションと比較した。3つ目の要素技術として、画素密度を高く、かつ、きれいなビームを受信するマイクロレンズアレイの設計をおこなった。これによりシリコンをもちいたマイクロレンズアレイの機械加工が最適化された。さらに、マイクロレンズアレイとMKID基板のアライメントのズレによるシミュレーションにより、220GHz では20 micro-m以下に抑える必要があることを示した。実際、レンズアレイと基板に穴をあけて、10 micro-mで調整できることも示した。
1: 当初の計画以上に進展している
サブミリ波2000画素超伝導MKIDカメラの開発にむけて、当初の計画以上に進展している。平成25年度、600画素MKIDカメラの試作に成功した。また、2000画素MKIDのための要素技術についても実証をおこなった。よって、申請時の計画の前倒しで、平成26年度に2000画素MKIDの試作を始めることが可能となった。
平成25年度は、申請時の計画以上に開発が進展した。よって、平成26年度は、2000画素MKIDの試作を始める予定である。MKIDの読出し回路の開発も引き続きおこなう。シリコンマイクロレンズアレイの機械加工の高速化などの検討もおこなう。並行して、600画素MKIDカメラの試験評価をすすめ、2000画素MKIDカメラの開発にフィードバックをおこなう。さらに、開発した220GHz-600画素MKIDカメラを天体望遠鏡に搭載する可能性を探る。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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