研究課題
宇宙マイクロ波背景放射のB-mode 偏光観測や遠方銀河の観測のために、ミリ波~サブミリ波の超伝導MKIDカメラの開発を進めた。平成26年度は、600画素 220 GHz MKIDカメラの評価をすすめつつ2000画素に向けて以下の要素技術の開発をすすめた。1、ミリ波2000画素カメラを望遠鏡と効率良く結合する広視野冷却光学系の設計をおこなった。極低温0.1K希釈冷凍機に直径15cmのミリ波の窓をつけ、アルミナレンズとシリコンレンズを組合わせて、F#6からF#1への変換する。迷光を減らすために、cold nested baffleやcold aperture stopの工夫をおこなった。2、反射防止膜(anti-reflection coating: ARC)の開発に成功した。アルミナやシリコンは誘電率が大きいために、反射防止コーティングが重要となる。2種類のエポキシ材を混合して、その誘電率を制御し、厚みは機械加工で制御した。3、画素密度を高く、かつ、きれいなビームを受信するマイクロレンズアレイの設計をおこなった。これによりシリコンを用いたマイクロレンズアレイの機械加工が最適化された。さらに、マイクロレンズアレイとMKID基板のアライメントのズレによるシミュレーションにより、220GHz では20 micro-m以下に抑える必要があることを示した。実際、レンズアレイと基板に穴をあけて、10 micro-mで調整できることも示した。
2: おおむね順調に進展している
サブミリ波2000画素超伝導MKIDカメラの開発にむけて、順調に進展している。平成26年度、600画素MKIDカメラの試作に成功した。また、研究実績の概要に記述したようにサブミリ波2000画素MKIDのための要素技術の開発をすすめた。
平成26年度は、順調に計画が進展した。よって、平成27年度は、2000画素MKIDの試作を始める予定である。MKIDの読出し回路の開発も引き続きおこなう。シリコンマイクロレンズアレイの機械加工の高速化などの検討もおこなう。並行して、600画素MKIDカメラの試験評価をすすめ、2000画素MKIDカメラの開発にフィードバックをおこなう。さらに、開発した220GHz-600画素MKIDカメラを天体望遠鏡に搭載する可能性を探る。
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