研究課題
宇宙マイクロ波背景放射のB-mode偏光観測や遠方銀河の観測のために、ミリ波~サブミリ波の超伝導 MKID (Microwave Kinetic Inductance Detector)の開発を進めた。平成27年度は、600画素 220GHz MKIDカメラの評価と並行して、2000画素カメラの開発に向けて、下記のような要素技術の開発を行った。ミリ波カメラと望遠鏡を効率よく結合する広視野冷却光学系の開発を進めた。極低温0.1K希釈冷凍機を用いた冷却器の改良を行い、真空窓を15cmから20cmに広げた。これによって視野が約2倍となる。大口径シリコンレンズを入手して、低温における誘電率やロスタンジェントの測定を行った。これにより、さらなる広視野化の目処が立った。シリコンレンズの反射防止膜については、レンズアレイ及び大口径レンズに適用できる設計の検討も進めた。冷却システムの迷光対策を進めた。当初はMKIDに入射する迷光によって雑音が制限されたいが、様々な工夫によって、十分に低雑音にすることに成功した。断熱のための熱シールドの表面は、emissivityを低くしているが、そこでの反射による光子のもれこみを減らすため、一部の反射面に特殊な黒体を貼り付け、反射を減らした。その黒体は低温、真空中で使用しても問題ないことを確かめた。
2: おおむね順調に進展している
MKIDカメラの開発及びそれと天体望遠鏡とを効率よく結合する冷却光学系の開発を順調に進めている。
本年度は、2000画素MKIDの試作を始める予定である。冷却光学系や読み出し回路を含めた総合試験を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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