研究課題/領域番号 |
25247026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
成田 憲保 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 特任助教 (60610532)
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研究分担者 |
泉浦 秀行 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 准教授 (00211730)
生駒 大洋 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397025)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 太陽系外惑星 / トランジット / スーパーアース / ホットジュピター / 系外惑星大気 / 観測装置開発 |
研究概要 |
本研究は、岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡に新しく搭載する多色撮像カメラの開発を一つの柱とし、既知のトランジット(食)を起こす惑星の多色撮像観測によってその惑星の大気の性質を調べることをもう一つの柱としている。 まず新しい広視野多色撮像カメラの開発については、予定通り平成25年度に光学系の設計と装置本体の構造設計を完了した。また、光学フィルターと装置搭載用のPCについても選定・購入を行った。平成26年度には、上記の設計をもとに光学系一式と装置筐体などを製作し、フィルター・PCとともに装置全体の組み立てを行う予定である。 一方、既知のトランジットを起こす惑星の観測については、平成25年度までにすばる望遠鏡のSuprime-CamおよびFOCASと、南アフリカ天文台IRSF1.4m望遠鏡のSIRIUSを用いてスーパーアースGJ1214bの多色トランジット観測を実施した。 平成25年度はそのトランジット光度曲線の解析を実施し、観測によって得られた複数の波長でのトランジットの深さを理論的に考察するため、研究分担者の協力により惑星大気の化学平衡計算を行い、惑星大気の主成分やもや(ヘイズ)・雲の有無などを変えた場合のトランジットの深さのモデルを作成した。 そのモデルと実際の観測結果を比較することによって、GJ1214bでは高分子量大気を主成分とする大気か上層部に厚い雲を持つ大気を持つ可能性が高いことを明らかにした。この観測結果は、すばる望遠鏡のホームページにおいてプレスリリースが行われた。 さらに、新しく発見されたトランジット惑星に対しても、平成25年度に多色トランジット観測を実施した。この観測結果については、平成26年度以降に論文化を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置開発については、当初の計画より交付金が減額されたため検出器を安価なものへ変更することとなったものの、計画通り平成25年度に新しい観測装置の詳細設計まで完了し、平成26年度以降に開発を実施できる見通しとなった。 また、既知のトランジットを起こすスーパーアースの観測については、観測結果と理論解釈の連携によって論文を発表し、当初の目標通り惑星大気の性質に対する知見を得ることができた。 それに加えて、新しいターゲットの多色トランジット観測も順調に進んでいる。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は岡山天体物理観測所に搭載する新しい観測装置の開発を中心に進め、装置部品(光学系、筐体など)の発注および全体の組み立てを行う。早ければ年度内に岡山天体物理観測所に移送して、188cm望遠鏡への搭載試験と実際のトランジット惑星の試験観測を行う。 これと並行して、平成26年度も既知のトランジット惑星の観測を、既存の望遠鏡と装置を用いて実施する。そのための観測時間はすばる望遠鏡などで既に確保している。 平成27年度以降は、既存の装置に加えて本研究で新しく開発した観測装置を用いてトランジット惑星の観測を実施し、スーパーアースの大気の性質についてより深い知見を得ることを目指す。
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