CERN研究所の反陽子減速器において「反陽子ヘリウム原子(ヘリウム原子核に、反陽子と電子が一個ずつ束縛された準安定な中性原子)」の精密レーザー分光を行い、基礎物理定数の一つである(反)陽子・電子質量比を高精度で決定することを目指した。 レーザー分光で得た複数の共鳴線の中心周波数と、三体の量子電磁力学計算結果との比較から、反陽子と電子の質量比を、相対標準不確かさで0.8ppb(ppbは十億分の1)で決定した。これは、CODATA2010で推奨されている陽子・電子質量比と同等以上の精度である。 結果は、2016年度にScience誌に発表した。
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