研究課題
本研究の次のステップである32Naのスピン偏極生成のためには、32Na原子の超微細構造分裂エネルギーの分だけ周波数が離れたレーザー光2つを用意する必要がある。しかし、32Na原子の超微細構造はこれまで誰も測定したことがない。そこで、平成27年度中に球面鏡を用いた高感度なレーザー分光システムを開発した。平成28年4月始めに、安定核 23Na ビームを用いたテスト実験を行った。その結果、光電子増倍管信号のアンプ系のゲインやビームを直接計測するためのマイクロチャンネルプレートに不具合が見つかり、改良を行った。加速器施設の工事のためビームタイムが得られない状態がしばらく続いていたが、平成29年7月に実験を行うことが決定した。これに成功すれば、直ちに32Naの核偏極生成に挑戦する。32Na核や近い将来の目標である33Na核のベータ崩壊では中性子放出確率が高いことが予測される。そこで、このベータ遅発中性子を測定し、中性子非束縛状態の構造を突き止めるために、高感度な中性子検出器(シンチレーター)の開発を行った。プロトタイプの性能をチェックするために、12月に大阪大学核物理研究センターにおいて17N のベータ遅発中性子の測定を行った。優れた性能が達成されたが、さらなる性能向上を目指して改良を検討している。平成28年度の大きな成果は、31Mgの核構造に関する結果を Physics Letters に掲載したことである。ごく最近注目され始めた変形共存現象がこのような軽い原子核でも見られるという実験的証拠を提示したもので、注目を集めている。それと同時に国際会議で招待講演を行った。さらに、30Mg の結果もあわせたfull paper を執筆中である。平成29年度の早い時期に投稿予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physics Letters
巻: B767 ページ: 81, 85
http://doi.org/10.1016/j.physletb.2017.01.049